ラグビーPRESSBACK NUMBER
スーパーラグビー参戦の意義とは。
ジョセフHC兼任に浮かぶ改善点。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byAFLO
posted2017/10/11 07:00
自国開催のW杯まで残り2年。ジョセフヘッドコーチにかかる重責は大きい。
当初託された「代表の別働隊」としての使命。
次の課題は、サンウルブズと日本代表の連携強化である。
そもそもスーパーラグビーへの参戦は、トップリーグの活動を継続しながら、日本代表の強化も図っていくという、2つの難しい課題を両立させるために考え出されたものだった。2019年に向けては、イングランド大会の時のように異例の長期合宿を張ることはできないからである。
具体的に言うならば、人材の育成や経験値の蓄積、フィットネスとフィジカルの醸成などを通じ、事実上の「代表の別働隊」として日本ラグビー界全体を牽引するというのが、サンウルブズに託された使命だった。
だが当初の目標が完全に達成されたとは言いがたい。
たしかに人材の起用に関しては、着実に成果を挙げつつある。たとえばフッカーの庭井祐輔(キヤノン)、スクラムハーフの流大(ながれゆたか、サントリー)、ナンバーエイトの徳永祥尭(とくながよしたか、東芝)、松橋周平(リコー)などは、サンウルブズでの経験を積み重ねることで、ステップアップしてきている。次代を担う選手が頭角を現してきたのは、サンウルブズとスーパーラグビーという舞台があればこそだ。
肉体面、代表自体の強化には繋がりきっていない。
だがフィットネス&フィジカルを一貫して鍛え上げるという点では、まだまだ課題は多い。4月14日、ニュージーランドのクルセイダーズに3-50で完敗した後、ベテランの田中史朗は、こう述べている。
「前半はじめの20分まではディフェンスでしっかり我慢できていたが、その後、クルセイダーズはプレーが継続できて、自分たちは継続できませんでした。相手のプレーが激しく、身体の疲れもありましたし、フィットネスも落ちました。しかし、そこで耐えてこそ、スーパーラグビーで戦えるチームになれると思います」
別働隊として強化を牽引するという、最も重要なミッションに関しても然り。代表戦の成績が物語っている。
日本代表は6月のテストマッチではルーマニアにこそ33-21で競り勝ったものの、アイルランドには初戦で22-50と大敗。2戦目でも雪辱を期すことができなかった。さらに述べるなら、ジェイミー・ジョセフ体制になってからは、ジョージアとルーマニアに勝利したのみで、世界の強豪相手に結果を出せていない。昨秋のウェールズ戦で健闘した(30-33)のが光る程度だ。