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スーパーラグビー参戦の意義とは。
ジョセフHC兼任に浮かぶ改善点。
posted2017/10/11 07:00
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph by
AFLO
「日本代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフが、サンウルブズのヘッドコーチを兼任することとなり、フィロ・ティアティアヘッドコーチの退任が決定いたしました」
10月6日、衝撃的な一報が飛び込んできた。しかもティアティアに関しては、任期を1年残して離任するという異例の事態にもなっている。
なぜこの時期に、大きな体制の変更が行われたのか。
スーパーラグビー参戦3シーズン目に向けて、サンウルブズの梃子入れを図ろうとしたこと、そして2019年のラグビーW杯日本大会に向け、サンウルブズと日本代表の連係をさらに図ろうとしたのではないかといった理由はすぐに思いつく。
南アのメディアから「軽視している」という酷評。
まずはサンウルブズの梃子入れである。
昨シーズンの成績は2勝13敗で18チーム中17位。1シーズン目が1勝1分け13敗で18位だったことを考えれば、ステップアップしたともいえる。7月15日に行われた最終戦では、大会を過去3度制したニュージーランドの強豪、ブルーズに大差の勝利も収めた。
だが、シーズン通じてみると満足できる内容でなかったのは明らかだ。総得点が293から315と増えたが、失点も627から671へと大きく増えている。チームの拠り所であったはずの組織的な守備が、機能しなかったことを物語る。特に7月2日、アウェーのライオンズ戦では94対7と、大会史上に残るような歴史的な大敗まで経験した。
「日本のラグビー関係者は、スーパーラグビーの試合を軽視している」
試合会場となった南アのメディア関係者から、酷評されたことは今も記憶に新しい。
ブルーズ戦に関しても、試合の文脈を度外視して美辞麗句を並べるのは適切さを欠く。歴史的な勝利であったのは事実だし、どんなチームにとっても勝利に勝るものはない。私自身、試合が終わった直後には、海外の知人から祝福のメールを大量に受け取った。だがシーズン開幕前、チームや選手たちは、もっと高い目標を掲げていたはずだ。