球道雑記BACK NUMBER
打てる捕手・阿部慎之助の後継者!?
プロ2年目、宇佐見真吾とは何者か。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/09/12 11:00
9月5日の対中日戦。9回裏に、まるでゴルフスイングのようにして同点2ランを放った宇佐見。
ゴルフスイングのような本塁打も当然、の理由。
さらに佐藤が続ける。
「(両手でスイングすることによって)タイミング、そしてポイントを覚えます。それとボールを捕まえに行く際のバットの入れ方も分かりますし、ボール球も振らなくなってきます。そうしたバッターにとって基本的なことを、大学ではしっかりやりましょうと……そういうことを言い続けましたね」
2017年9月5日、長野県松本市野球場の対中日戦の9回裏で見せた宇佐見の同点本塁打もこうした中から生まれた。
膝元というにはやや低すぎる足元に近いボールをゴルフスイングのような形ですくい上げた曲芸とも言える一発。
SNS上では「信じられない」「神懸っている」などとあらゆる言葉で、この日の宇佐見のバッティングが称えられ、侍JAPANの正捕手として活躍した小林誠司の座を今後脅かす存在だという声も少なくない。
二軍には育成に定評ある内田、田代、小関らがいた。
ジャイアンツの中では阿部慎之助の後継者ともいえる「打てる捕手」の誕生。それほどのインパクトを、宇佐見は8月8日の一軍昇格後から、わずか1カ月で残してきた。
プロ入り後、彼の才能をさらに伸ばせる環境がジャイアンツにあったこともこの急成長に繋がった。
現二軍監督の内田順三は、広島で若手時代の正田耕三、江藤智、金本知憲ら後の名選手を教え、指導力には定評がある人物だ。
巨人でも阿部慎之助や、現一軍監督の高橋由伸らが若手時代に世話になっており、この内田の周りを、内川聖一や村田修一を覚醒させた二軍打撃コーチの田代富雄と、現役時代はコンパクトなスイングで安打製造機として知られた小関竜也らが取り囲む。
宇佐見が言う。
「内田さん、田代さん、小関さんの3人の方からは、練習のときから1スイングも無駄にするなとずっと言われてきました。それを日頃から意識して練習そして試合に取り組んで来たことで、スイングスピードは大学の頃よりも格段に速くなっていると思います」