猛牛のささやきBACK NUMBER
完璧主義から、一日一善への変化。
オリ西野真弘が田口壮に言われた事。
posted2017/09/12 07:00
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1年目の3割はまだ遠いが、西野真弘の調子は確実に上向いている。楽しそうであることは、プロ選手にとって重要なことだ。
text by
![米虫紀子](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
「僕、貯金初めてなんですよ」
開幕まもない4月8日、3連敗の後の4連勝でオリックスが貯金を1とした試合後、プロ3年目の西野真弘は、顔をくしゃくしゃにして嬉しそうに言った。
しかし、日を追うごとに西野の表情から笑顔が消えていった。打撃不振が続き、徐々に悲壮感が漂い始めた。
JR東日本から2014年のドラフト7位で入団した西野は、ルーキーイヤーから勝負強いバッティングでセカンドのレギュラーをつかんだ。身長167cm、68kgの小兵だが、迷いのない鋭いスイングで打球を軽々と外野に運んだ。
打率は3割を超え、新人王候補という話題も出始めたが、7月に右手有鉤骨骨折で戦線離脱し、その年の復帰はかなわなかった。
自信を持っていた打撃が崩れ、ついに登録抹消。
それでも、2年目は主にセカンドで全試合出場を果たす。オリックスで昨年、全試合に出場したのは西野と糸井嘉男の2人だけだった。
オフには守備の確実性アップを第一のテーマに掲げ、今年1月には東北楽天の藤田一也に弟子入りして守備を磨いた。昨年はエラーの数がリーグワースト2位(17個)という不名誉な数字を残してしまったからだ。
一方で、打撃には自信を持っていた。西野と安達了一の二遊間は、福良淳一監督の計算にも入っていたはずだ。
ところが開幕してみると、なかなか思うようにヒットが出ない。まったく打てないというわけではないのだが、理想が高い分、考えすぎて焦りが生じ、タイミングなどに微妙なズレが生まれて傷口を広げてしまった。打率は2割台前半に低迷し、先発出場の機会は減っていった。
そして7月8日、ついに登録抹消となった。怪我以外でのファーム降格は西野にとって初めてのこと。「そりゃもう悔しかったですよ」と振り返る。