球道雑記BACK NUMBER
打てる捕手・阿部慎之助の後継者!?
プロ2年目、宇佐見真吾とは何者か。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/09/12 11:00
9月5日の対中日戦。9回裏に、まるでゴルフスイングのようにして同点2ランを放った宇佐見。
走り方から徹底的に教えていった。
ひとつ目は走り方の矯正だ。
「今の子に多いんですけど、宇佐見も(入学当時は)足の外側に力が入っちゃう癖のある走りをしていました。
もう1人、右の大きい選手(現在は社会人野球・日本生命の本藤光貴)がいたんですけど、この2人をいつも組ませて、まずは走り方から矯正しようとしました。
内転筋を使う、母指球を使う、体の内側から使う、これは2人が今後、野球選手として成長する礎になるものだから、極端な話ですけど、内股で走れとかも言いましたし、プレーの正確さ、速さ、強さというものが出て来るように、当時はしつこく言いましたね」
いつも最後までしっかり両手で振り切っている宇佐見。
2つ目はバットを両手で最後まで振り切るよう徹底させた。
「せっかくの親からもらった大きな体があるわけですから、それをちゃんと生かしなさいよということですよね。両手でしっかり振り切りなさいと話をしました。
彼はどちらかと言うと、上半身を上手く、柔らかく、使える選手なので、その分、下(下半身)がおろそかになってしまう傾向が当時はあったんですよ。
両手でスイングすれば、分かると思いますけど、特に下半身がきつくなります。それを常にやりなさいと言ってきました」
宇佐見がプロで打った3本の本塁打を映像で確認すると、最後までしっかり両手で振り切っているのが分かる。
非凡な長打力がクローズアップされる選手だが、けっして長打を狙って大振りしているわけではない。バットに当てて、なんとかしようという意志のあるスイングというべきか――彼のコンパクトなスイングはこのとき原型が出来たのだ。