話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
史上最強から3年後の湘南スタイル。
秋元陽太、GK視点で見るDNAと変化。
posted2017/09/09 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
勝ち点3がスルリと抜けていった。
横浜FCの勝利への執念と粘りに湘南ベルマーレは堪え切れず、ラストプレーでまさかの失点。レアンドロ・ドミンゲスに2点目を決められた湘南GK秋元陽太は、悔しさをかみ殺してゴールからボールを掻き出した。
「もったいなかった。最後の最後でなぜ、ああなってしまったのか……」
落胆した声がショックの大きさを物語っていた。
負けに等しい勝ち点1。
2-1のままで勝っていれば湘南は2位の福岡に勝ち点差9をつけ、残り11試合の段階とはいえJ1昇格に向けて優位に立てた。しかし、2-2のドローにもちこまれ、勝ち点差7のままに終わった。
しかもこの日は7月22日山形戦以来、7試合ぶりの複数失点だった。
今の湘南の優先事項は、失点をしないこと。
湘南が現在、首位を走っている最大の要因は安定した守備にある。この日まで31試合で23失点はJ2最少失点だ。ちなみに「史上最強」と言われた2014年の湘南も86得点を奪うとともに、25失点でJ2最少失点を達成し、J2優勝を果たした。
ただ当時ほどの攻撃力がない現在の湘南が勝つためには、失点をしないことが最優先事項となる。それだけに秋元は、この試合の2失点にまったく納得がいかなかった。
「ともに防げる失点でしたからね。最後、自分たちが3点目がとれていれば良かったんですけど、前線で取り切れなかった。そういう時にこそラインを高くしたり、セカンドボールの処理をしっかりしていれば、最後に押し込まれて失点することはなかったと思うんです。それだけにすごく悔しいですし、なぜそうなったのか。これからしっかりビデオを見て分析したいと思います」
秋元は厳しい表情で、そう言った。