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ジェイ「僕はとにかく勝ちたいんだ」。
磐田番記者が札幌に送る取扱説明書。
text by
青木務Tsutomu Aoki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/07/07 11:30
札幌はJ2時代に磐田のジェイと対決している。当時マーカーだった福森は、新たなターゲットとしてクロスを上げる役割を果たせるか。
磐田時代には川辺ら若手の能力を引き出す役割も。
札幌にとって今季最大のミッションはJ1残留だろう。ジェイが実力どおりの働きを見せれば目標達成に近づくはずだが、期待される役割はそれだけではない。
このFWとの出会いをきっかけに、若手が急成長する可能性も秘めている。アカデミー出身者の多い札幌は菅大輝など将来有望な選手が並ぶ。札幌には小野伸二、稲本潤一といったプロの鑑がいるが、より我の強い選手であるジェイとプレーすることでも得られるものがあるはずだ。
ちなみに今季の磐田でもジェイによって能力を引き出された選手がいる。21歳ながら中盤の定位置を手に入れた川辺駿だ。彼の進化に一役買ったのがジェイである。
「僕がボールを持った時、一番に動き出してくれていた。出し手として非常にやりやすい選手だった。動き出しがいい、ということは自分も彼の動きを見ていないといけない。常にパスを出す準備をしていないと『なぜ今出さないんだ』と言ってくれる。要求はすごく高かった」
「敵になるとかなり厄介だけど、また日本で……」
川辺のMFとしての能力は、元イングランド代表に鍛えられたといっても過言ではない。パススピードやタイミングなど“世界標準”を吸収したことで、川辺はプレーヤーとして一皮剥けた。
移籍が正式に発表される前から「決まったんですか?」と記者陣に興味津々で“逆質問”してきた川辺に、ジェイの凄みを改めて聞くとこんな答えが返ってきた。
「どんな形でも点が取れるし、札幌にとっても大きな武器になるんじゃないかなと。残留が見えてくる位置までチームを上げられる選手だと思う。僕自身お世話になったし、敵になるとかなり厄介だけど、また日本でプレーを見られるのは楽しみ」
“師匠”のJ1復帰を、“弟子”は一人のサッカーファンとして歓迎しているようだった。