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ジェイ「僕はとにかく勝ちたいんだ」。
磐田番記者が札幌に送る取扱説明書。
text by
青木務Tsutomu Aoki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/07/07 11:30
札幌はJ2時代に磐田のジェイと対決している。当時マーカーだった福森は、新たなターゲットとしてクロスを上げる役割を果たせるか。
テレビゲームであっても絶対に勝ちたい男。
磐田時代、途中交代後にペットボトルを地面に投げつけてしまうなど、造反と受けとられてもおかしくない行為は確かにあった。規律違反は許されるものではなく、チームの秩序を保つためにも手綱は締めなければならない。一方、そうした“過ち”は勝利への飽くなき執念によるものだったとも捉えられる。ジェイは、自らをこう分析していた。
「とにかく勝ちたいんだ。ミニゲームでもそうだし、テレビゲームであっても絶対に勝ちたい。そういう意味で感情的になるのは自分の性格でもある。自分自身に期待しているし、チームメイトからの期待も感じる。僕はそれに応えたいと思ってプレーしている」
ともすれば扱いにくい選手にも映るかもしれない。だが、磐田に在籍した2シーズンで感情をコントロールする重要性を名波監督から学んでもきた。海外では問題なくても、日本の文化に馴染まない言動があることも理解しただろう。その意味では、新天地への順応も比較的潤滑に進むのではないか。
彼を取材したのは1シーズンだが、1人の人間としてもプレーヤーとしても興味深い存在だった。ジェイがJリーグでプレーすることは、日本人DFが“世界”に触れる絶好の機会にもなる。磐田を取材する者としては厄介な選手が相手になったというところだが、この男が北の大地で躍動することに疑いの余地はないと考えている。
ピッチ内における図抜けた能力はすでに証明済みである。札幌という新たなチームにフィットし、仲間の信頼に報いるため100%の力を発揮した時――。
対戦相手は再び、このストライカーに震撼させられるだろう。