マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
華がなく、社会人は10社以上落ち。
DeNA・宮崎敏郎が超無名だった頃。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2017/06/19 07:00
社会人入りも、プロ入りも宮崎敏郎はギリギリだった。か細い成功の道を踏破した彼は、今後どんなキャリアを歩むのだろうか。
「ほんと、0.00001%ぐらいの可能性をモノにして」
首の皮一枚でつながった野球人生。“就活”でも、宮崎敏郎はその旺盛な生命力を発揮していた。
「セガサミーも、DeNAも、ほんとによく決断してくれたと思います」
もし使えなかったら、採った人は間違いなく怒られる。そういうタイプの選手かもしれない。
「ほんと、0.0000……1%ぐらいの可能性をモノにして、今、“あそこ”に立っている。そういうヤツなんですよ」
6月15日、千葉ロッテ戦。1点リードされた5回。
四球とシングル2本で作った満塁。
カウント2-2から顔の高さに落ちてきた唐川侑己のカーブに、宮崎敏郎のバットがタテに入った。
プロでもマークした逆転満塁ホームラン。それも、やっぱり2ストライクからだった。
才能と才能が火花を散らすプロの世界で、ちょっと見わかりにくいバットコントロールという才能と、神さまが授けてくれたとしか思えない生命力を、“実戦力”というわかりやすいパワーに置き換えて、また1人、職人風スターがプロ野球に誕生しようとしている。