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塩谷司も巣立った水戸、J2での異彩。
西ヶ谷監督「ウチは再生、育成工場」 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2017/06/17 08:00

塩谷司も巣立った水戸、J2での異彩。西ヶ谷監督「ウチは再生、育成工場」<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

好調水戸の指揮を執る西ヶ谷監督。彼の愛妻は中継レポーターを務めているが、試合後に“夫婦インタビュー”が実現したことも。

中東へ移籍した塩谷も水戸がプロ第一歩だった。

 西ヶ谷が説明する。

「兵働はベテランと呼ばれる年齢でしたが、基本的には完成されたプロ選手がいないチームなんですね。完成されていない選手だからJ2の水戸にいるとも言えるわけで、そういう選手たちを戦えるようにしていかないといけない。プロサッカーなので競争社会ですが、僕らのチームは使えない選手を『じゃあ、いらないよ』と言うことはできない。バックアップの選手も含めて戦える選手に育てていかないと成り立たないなかで、結果も求めていくというのがこのクラブのスタンスなんです」

 今夏の移籍マーケットでも、水戸の名前は世界へ発信されている。サンフレッチェ広島からアラブ首長国連邦のアル・アインへの移籍が発表されたばかりの塩谷司は、プロとしての第一歩を水戸で踏み出しているのだ。

 2017年シーズンの水戸で、いままさに“再生”を果たしている選手も多い。

 モンテディオ山形から加入した30歳の林陵平は、ここまで18試合で9ゴールをマークしている。シーズン12点をキャリアハイとするストライカーは、プロ4チーム目となる水戸で最高の1年を過ごすかもしれない。

 昨オフに川崎フロンターレとの契約が満了になった橋本晃司も、12年から13年まで在籍した水戸で存在感を見せつけている。'14年は大宮アルディージャで、15年と16年は川崎で控えに甘んじた31歳は、高精度のキックで得点を生み出しているのだ。

「チームが結果を残すことで選手の評価も高まる」

 若手選手の躍動もある。松本山雅から期限付き移籍中の前田大然だ。プロ1年目の昨年は9試合出場で無得点に終わった19歳が、水戸で一気にブレイクしている。思い切りの良さと馬力のある突破を売り物に、林に次ぐ7ゴールをマークしているのだ。

「言ってみればウチのチームは、再生工場であり、育成工場です。もちろん、チームが結果を残すことで選手の評価も高まるので、目の前の1試合に100パーセントの準備をして臨んでいきます」

 選手たちから“がやさん”と呼ばれる44歳の指揮官が、J2リーグを盛り上げている。

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