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塩谷司も巣立った水戸、J2での異彩。
西ヶ谷監督「ウチは再生、育成工場」
posted2017/06/17 08:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
無印の地方クラブが、J2リーグを盛り上げている。
2017年のJ2リーグは、J1から降格した名古屋グランパス、湘南ベルマーレ、アビスパ福岡の3チームに加え、昨年のJ2で3位の松本山雅FC、同5位の京都サンガらが昇格を争うと目されていた。このほかにも、上位をうかがう存在として無視できないクラブが複数ある。
J1自動昇格圏内の2位以内はもちろん、昇格プレーオフを争う6位以内を巡る争いも混迷を極めるというのが、シーズン開幕前の一般的な見立てだっただろう。主力選手の入れ替わりがJ1よりも激しく、それゆえに思いがけない飛躍や低迷も付きものだけに、様々な可能性を排除できないのがJ2というリーグなのだ。
J2で人件費19番目の水戸が、11戦連続負けなし!
それにしても、である。水戸ホーリーホックの躍進は周囲を驚かせるものだ。
Jリーグは各クラブの経営情報を開示しており、現時点では2015年度まで内訳を知ることができる。チーム人件費の項目を見ると、水戸は22チーム中19番目だ。J2に残留できる20位以内を死守するというのが、彼らの経営方針と考えて差し支えないはずだ。
クラブ史上最高位は2009年の8位で、翌10年以降の成績は2ケタ順位が並ぶ。昨年は13位でフィニッシュしたが、12位と勝点5の開きがあった一方で、14位、15位とは勝点差1で、20位とも勝点差が「5」しかない。'15年の19位からのランクアップは、紙一重のものだったのだ。
それがどうだろう。ここまで18試合を終えた段階で、7勝7分4敗の勝点28は9位である。8節から11試合負けなしのクラブ記録を更新しており、18節では過去2分6敗と勝利のない松本山雅をアウェイで下した。