ぶら野球BACK NUMBER
野球の応援は“究極の片想い”か。
仙台の地で巨人と牛たんで泣く。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2017/06/15 11:00
「絶品 銀次の海鮮箱」「藤田一也の牛めし弁当」「シマシマ弁当II」……スタジアムには選手とコラボしたお弁当が並ぶ。
バス車内に流れるのは楽天・岡島のアナウンス。
バス乗り場から、みんな年に1度のお祭りの交流戦を楽しみにしていた様子が伝わってくる。
車内アナウンスでは録音で楽天の背番号4岡島豪郎が「本日はありがとうございます。楽天イーグルスの熱い応援よろしくお願いします」と爽やかなご挨拶。
すかさず楽天のキャップを被ったおばちゃんが「喋りが硬いわ」なんてまるで息子に対するようなダメ出しをかます。
隣に立っている茂木栄五郎の5番と銀次の33番ユニを着た女子高生風の2人組はスマホの打率ランキングを見ながら「巨人打線は坂本とマギー以外はたいしたことないね」と軽やかにディスっている。
ゴメン、まあその通りと心の中で同意していたら、あっという間にバスは球場に到着した。
ちなみに仙台駅からKoboパーク宮城へは徒歩でも20分弱の距離だ。
空気はいいし、帰りは歩いてもいいかもな。もちろんこの時点では数時間後に目の前で展開される惨劇をまだ知る由もない。
ゲートをくぐるといきなり今日の楽天スタメンの選手写真パネルがお出迎え。さらに進むと仙台国際ハーフマラソン参加者特別優待チケット引換所、イーグルスの巨大キャップオブジェが目印の「初心者ステーション」と「イーグルスキッズステーション」。その先には多くの屋台が並ぶ飲食スペースや選手プロデュース弁当販売所。もちろん充実のグッズショップやファンクラブメンバーズデスクも完備。
マジ完璧である。
悔しいけど、野球場の完成度としてみたら東京ドームは完封負けだ。
チケット料金以外は、ほぼ完璧なボールパークが!
これが噂のセ界に誇れるボールパークか……。
入場して1塁側内野指定席に行くと、レフト外野席後方には観覧車やメリーゴーラウンドが見える。場内の大型ビジョンは冗談みたいに鮮明で、チーム本塁打数トップ5や打席に立つ選手の詳細な経歴といったシーンごとに痒いところに手が届くデータを表示。
なんだよこれ、すげーな。
さっき食べた“のりもとんカレー”も野菜がたっぷり乗ってたし。決して良席とは言えない内野指定Aのチケット料金が6300円と少し値段が張る以外は突っ込みどころがほとんどない。
そんなKoboパーク宮城の完成度の高さにほとんど圧倒されていると、気が付けばマウンド上の菅野も楽天打線にメッタ打ちを食らい圧倒されていた。
2被弾を含む5回8失点……。
今の巨人ローテは大黒柱の菅野が打たれると他の投手より数倍の絶望感とダメージがある。序盤は巨人打線も必死に食らいつくも、6回裏のウィーラーのダメ押し満塁弾でジ・エンド。まさか仙台まで来てこんな試合を見せられるとは思わなかった。気が付けば、5連敗だ。