リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサ新監督バルベルデとは何者。
バスクで磨いたクライフイズム。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2017/06/11 08:00
思慮深い表情を浮かべて就任会見に臨んだバルベルデ。黄金期を迎えた宿敵レアルに立ち向かえるチームを作れるか。
金銭に制限のない補強を初めて体験できる。
初のビッグクラブでバルベルデが初体験するものがもうひとつある。伝統や金銭に制限されない補強である。
バスク生まれかバスクのクラブの育成部門出身者しか受け入れないアスレティックのようなルールはバルサにはないし、予算も彼がこれまで籍を置いてきたクラブとは比べものにならない。
マルカ紙によると、バルベルデが監督生活14年で使った補強費(のべ7クラブで27人獲得)の合計は8500万ユーロ(約105億円)。その間バルサは監督5人の要望に従い、66人に10億4600万ユーロ(約1290億円)かけている。
ただ、必要に迫られてのことだったとはいえ、バルベルデはカンテラの若者を伸ばすのが巧い。アスレティック、エスパニョール、ビジャレアルでこれまで計34人を1部デビューさせ、中にはフェルナンド・ジョレンテ(現スウォンジー)やイラオラ(引退)などスペイン代表に選ばれるまでになった者もいる。
バルサの「カンテラ重視」を再興できるのか。
バルサにはかつてカンテラ重視という慣習があった。クライフが望み、ファンハール、ライカールト、グアルディオラが続け、ルイス・エンリケ期に入って衰退したが、バルベルデはこれを蘇らせるかもしれない。
そうなればカンテラは活気づくだろう。
カンテラ復興はトップチームの監督の要件ではないが、ソシオが喜ぶのは間違いない。
そして、バルサはソシオのクラブである。