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ブッフォン「愚痴りたいことがある」
届かなかったCL決勝、魔物の正体。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/06/06 11:10

ブッフォン「愚痴りたいことがある」届かなかったCL決勝、魔物の正体。<Number Web> photograph by AFLO

ブッフォンの悲願はならなかった。彼がビッグイヤーを掲げる姿が観たかった、そういうファンは世界中にどれほどいたのだろうか。

1年前、ミラノでの決勝も同じ展開ではなかったか……。

 ユーベは、自陣に引く場面では4-4-2へと変化し、2本のラインに連なるプレスと連係したマークでレアルの攻撃を退けた。

 一進一退の攻防の末、追い上げるユベントスがやや優位かと思わせた前半が終わったときのことだ。

 奇妙な既視感に気付いた。

 1年前、我々はミラノで似たようなゲームを観たはずだ。

 リベンジに燃えるアトレティコ・マドリーが先制され、追いつきながら、最後にはレアルの前に力尽きた昨季大会のファイナルだ。

 闘将シメオネに率いられたアトレティコは決勝の舞台に場慣れしておらず、詰めを誤った。一方、近年のレアルは、CLファイナルをほぼ毎年の恒例行事にしてしまった。

 選手人生を変えるといっても過言ではないタイトルのかかった試合で、彼らは冷静に戦況をコントロールする。レアルは、ユーベ以上に用意周到に決勝戦へ挑んでいた。

ユーベの両サイドバックは、30回ボールを奪われた。

 後半が始まると、レアルは牙を剥いた。

 54分から5分間で4度のチャンスを作り、MFモドリッチやDFマルセロ、MFイスコが立て続けに鋭いミドルシュートを放った。

 鍵は中盤だった。

 レアルMFモドリッチが一旦ボールを持つと、空気が変わる。実際には、守備側のリスクは、MFクロースがモドリッチへパスを出した時点で始まっている。

 名手揃いのダイヤ型カルテットを形成するレアルに対し、ユーベの中盤はMFピアニッチとMFケディラだけだった。ユーベ指揮官アッレグリは中盤での競り合いを避け、サイドへ素早く展開する作戦だったが、その狙いは敵将ジダンから読まれていた。ユーベの両サイドが積み上げたボールロストの数は、合計30回に上った。

【次ページ】 ジダンが仕掛けた“ディバラ潰し”が的中。

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