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10度のクラブ昇格を実現した魔術師。
ポルトガルの名将、オリベイラの人生。
text by
ニコラス・ビラスNicolas Vilas
photograph byAndre Vidigal/Global Imagens/Iconsport
posted2017/05/23 07:30
ポルティモネンセとは契約更新をまだしていない。他のクラブからもオファーが殺到しているオリベイラだが、来季に指揮するクラブは未定である。
「2部でトップの監督」という自己認識もあるが……。
アメリカ大陸まで目を向けても、ウルグアイ人のオルランド・デ・レオンがコスタリカとグアテマラで7度実現しているだけで、オリベイラは自身の記録を誇りにしている。
「つまり私は2部でトップの監督だということだ。だからといって、リーガの監督が務まらないわけじゃない。けっこう長く1部でもやったよ。
ただ、勝って上にあがるのはとにかく気持ちがいいからね」
その通りかもしれないが、誰にもできることではない。
秘訣はいったいどこにあるのだろうか?
どんな魔法を使って、この偉業は成し遂げられたのか?
「特別な魔法のレシピがあるわけじゃない。最も重要なのは選手の質だね。
もちろん組織やロジスティック、マネジメントなども無視はできない。それらがベースではあるけれども、ポルトガルのサッカー界では、給料の未払いなどいくらでもある。それよりも中心となるグループの質をどれだけ高くできるかなんだ」
ブルキナファソ代表のサイドバックであるステファン・ダセは、3シーズンをオリベイラのもとで過ごした。現在は2部のビセウに所属する27歳の彼は、オリベイラとともに複数のクラブ……アルーカとウニオン・ダ・マデイラ、チャベスの昇格を成し遂げたのだった。ダセはいう。
「彼はクラブを変えるたびに、知っている選手に声をかけるんだ。能力をよく理解していて、信頼が置けるからなんだろう」
オリベイラがさらに説明する。
「技術・戦術的な能力はもちろんだが、心理面・メンタル面でプラスアルファをもたらすことができる選手たちとスタートができれば理想的だ」