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10度のクラブ昇格を実現した魔術師。
ポルトガルの名将、オリベイラの人生。
posted2017/05/23 07:30
text by
ニコラス・ビラスNicolas Vilas
photograph by
Andre Vidigal/Global Imagens/Iconsport
小林伸二や石崎信弘、反町康治……。
日本にも、昇格請負人の異名をもつ職人的な資質の優れた監督たちがいる。だが、世界は広いとはよく言ったもので、ポルトガルには10度もチームを2部から1部に引き上げた監督がいる(Jリーグの最高記録は小林伸二の4回)。しかもその10回は、すべて異なるクラブである。また5年連続1部昇格というのも、恐らく破られることのない記録で、これらすべてはボラ・ミルティノビッチの5回連続異なる国からワールドカップ出場(うち4回は決勝トーナメント進出)や、ビットリオ・ポッツォのワールドカップ2連覇に匹敵するような、隠れた大記録であるといえる。
フランス・フットボール誌5月9日号では、ニコラス・ビラス記者が今季10度目の1部昇格を成し遂げたオリベイラを紹介している。
世界最高の昇格請負人とは、いったいどんな人物であるのか。
監修:田村修一
偉大な記録を生み出した監督はどんな人物なのか?
今季、ポルティモネンセはポルトガル1部リーグ昇格を果たした。
監督のヴィットル・オリベイラにとって実に10回目の昇格で、しかも彼はすべて異なるクラブでそれを実現している。特異な監督が打ち立てた、他に例を見ない稀代な記録である。
ヴィットル・オリベイラは、ポルトガルでは知る人ぞ知る昇格請負人である。
63歳になる彼は、リーガ(1部)にチームを引き上げること実に10度。最近は5年連続で昇格を果たしている。しかも10回とも、率いたクラブが異なっている。もちろん世界記録である。
「2年前に『ピュブリコ』紙が電話をかけてきて、そんな監督はヨーロッパに誰もいないと言うんだ」とオリベイラはいう。