プレミアリーグの時間BACK NUMBER
降格でもコンテ級評価の39歳監督。
マルコ・シウバは新モウリーニョか。
posted2017/05/21 11:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
今季プレミアリーグで著しく株を上げた新監督が2人。アントニオ・コンテとマルコ・シウバだ。ただ、後者は首を傾げるどころか初めて聞く読者も多いかもしれない。
5月12日のウェストブロムウィッチ戦で優勝を決めたコンテのチェルシーに対し、シウバ率いるハルは14日のクリスタルパレス戦で降格が決まった。
しかしながら、予想以上の腕前で周囲を唸らせた点は共通する。
そもそもハルはシーズン大詰めを迎える前に、残留の望みを絶たれていておかしくない状況だった。昇格に貢献したスティーブ・ブルース前監督はフロントの消極的な補強姿勢に幻滅してシーズン開幕前に監督を辞任。
後任監督のマイク・フィーランのもとで2連勝スタートを切ったが、その後は順位を下げ続けて降格圏内へ。年明け5日にシウバが新監督に就任した第20節時点では最下位だった。
それに加えてロバート・スノドグラスとジェイク・リバモアという2人の主力MFが、それぞれウェストハムとウェストブロムウィッチへと移籍。さらには、昨夏にクラブ史上最高額の1000万ポンド(約14.5億円)でトッテナムから獲得したセンターハーフ、ライアン・メイソンが頭骨骨折の大怪我を負う不運にも見舞われた。
降格が決まっても「ステップアップが待ち受けている」。
こんな逆境続きにもかかわらず、ハルが第37節まで残留争いに踏みとどまることができたのは、ひとえにシウバのおかげだ。
就任当初「なぜシウバなのか?」と否定的な反応が多かっただけに、短期間で残したインパクトはより強まった。
解説者のガリー・ネビルは、ハルの降格が決まったばかりながら「シウバにもプレミアでのステップアップが待ち受けているだろう」と述べているほどだ。とはいえシウバが残してきた指揮官としてのキャリアを踏まえると、決して偶然ではないことが分かる。