話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
磐田で控え、世代別代表ではエース。
小川航基は前園、清武級になれるか。
posted2017/04/22 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
AFLO
日本の「エース」を名乗るのにふさわしい回答だった。
小川航基(磐田)は、U-20日本代表候補合宿最終日のジェフ千葉との練習試合(30分×3本)で2ゴールを挙げた。このゴールとこれまでの代表チームでの実績を踏まえて来月、韓国で開催されるU-20W杯を戦う日本のエースとして国際舞台に立つことになる。
カテゴリ別代表チームには、かならずといってもいいほど同世代の選手に一目置かれ、認められた選手がいる。アトランタ五輪で言えば前園真聖であり、ロンドン五輪では清武弘嗣がまさにそういう存在だった。彼らは一様に技術レベルが高く、チームを引っ張れる選手だったが存在そのものが中心になっていたのだ。
小川は、代表チーム結成時から主力としてプレーし、昨年のU-19選手権でも3ゴールを挙げて優勝に貢献。3月のドイツ遠征のデュイスブルグ戦ではハットトリックを決めるなど国際舞台で常にゴールを挙げてきた。
点を取れて、リーダーシップも発揮しようとする。
その得点力に加え、技術が高く、観察眼も鋭い。千葉との試合の2点目は相手の高い守備ラインを見極め、前半からDF町田浩樹(鹿島)にパスを要求していた結果、ロングパスで抜け出すことができた。その際も直線的な動きが多かったことを反省し、斜めに入ってもらうことでGKを前に出にくくするなど動きの質を変えている。こうした駆け引きや読みは天性のものがあるのだろう。それがこれまでの多くのゴールにつながっている。
また、小川の意識には「チームの状況が悪い時に声掛けができるリーダーシップを取っていきたい」と、チームを牽引する自覚もある。チームメイトも点が取れるエースを信頼している。「ここって時に点を取ってくれるのはもちろん、守備でも貢献してくれるうちのエース」とキャプテンの坂井大将(大分)は小川を絶賛している。小川はU-20日本代表で、かつての前園や清武的な存在になりつつあるのだ。