話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
磐田で控え、世代別代表ではエース。
小川航基は前園、清武級になれるか。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2017/04/22 07:00
ジェフ千葉相手にゴールを決め、渾身のガッツポーズを見せる小川。久保らとのコンビネーションでゴールを奪えば、その将来は開ける。
昨季はジェイ、アダイウトンの壁を超えられず……。
ただ、これまでも小川に不安がなかったわけではない。これは内山篤監督も常々気にしていたが、最大の懸念は磐田で公式戦出場の機会に恵まれず、試合勘を失ってしまうことだった。昨季から4-2-3-1のシステムを敷く磐田ではジェイやアダイウトンの壁を超えられず、リーグ戦は出場ゼロに終わった。ルーキーとイングランドでプレーし、2015年はJ2の得点王になったジェイとの実力差は認めざるを得ないが、あまりにも出番が巡ってこなかったのだ。
ただ、小川はそれでも腐らなかった。
「ボックス内の動きとシュート数にこだわりを持つように」と名波浩監督から指令を受け、ボールを呼びこんでシュートを打つ意識を高めた。それが前述したU-19選手権での3ゴールという形になって表れた。
それでも不安はつきまとっていた。昨季後半から同世代の三好康児(川崎)らが公式戦に出場し始めたことで「みんなが試合に出始めているのを気にしています」と自分の中に焦りと葛藤を常に抱えていたのだ。
久保建英らの招集もあって、安穏とはしていられない。
今回の合宿には今シーズン、鳥栖で結果を出して頭角を表し始めた田川亨介が新たに入ってきた。「天才」と言われる久保建英(FC東京U-18)の招集もあり、ウカウカしていられない状況だ。
ただ、小川も今季に入ってから徐々に試合に出場できるようになってきた。第4節の神戸戦でリーグ戦デビューを果たし、第7節の鳥栖戦にも途中出場した。ルヴァン杯では仙台戦でスタメン出場を果たしている。
小川は「まだ少しの時間ですし、ゴールを決められていないですけど」と前置きしつつも、手ごたえをつかみつつある。
「試合に絡み始めて自信にもなりますし、それを代表にも還元して自信をもってやれている」