“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
柏ユースから青森山田へ電撃移籍!
代表でも活躍する17歳がなぜ……。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/04/16 07:00
今季昇格組の浦和レッズユースとの対戦となったプレミア開幕戦。11番をつけた中村は、新チームとは思えない連係で見事にエースの責務を果たした。
中村の覚悟を後押しした、神谷の言葉とは?
「(代表の試合で行った)バーレーンで、神谷優太くんが青森山田に転入した決意や、そこで過ごした1年間について話していたんです。
そこで優太くんが『最後の1年間、あの決断を下して本当に良かった。青森山田では仲間や監督、スタッフが支えてくれて。人間的に大きく成長できたと思うし、精神的にも肉体的にも凄く逞しくなった』って話していたんです。その言葉が僕の心にスッと入ってきた。心が揺さぶられましたね」
この神谷の言葉があったから、「青森山田」の名前が真っ先に頭に浮かんだのだ。
「俺、青森山田に行きたい。青森山田で1年間頑張って、必ずプロになる」
中村は両親にその想いを包み隠さず話した。突然の申し出に、当然両親は何度も彼に意思確認をしてきたという。
「想いは絶対に変わらない」
息子の確固たる意志を理解した両親は、すぐに動いた。
青森山田高校と、彼が通学していた日本体育大学柏高校とのカリキュラムが合致したこと、柏レイソル側も中村の意思を最大限に尊重することを決めた結果、移籍話はすぐにまとまった。
「両親が本当に僕のために動いてくれた。受け入れてくれた青森山田、送り出してくれたレイソルにも感謝しかありません」
こうして青森山田・中村駿太は誕生した。
そして、彼はプレミアイースト開幕戦で決意の公式戦デビューを飾ったのだ。
「エースになりたいんだろ?」
青森山田の一員になった後、関西国際大学との練習試合(3月23日)で初得点を挙げると、ガバナーカップ・兵庫県選抜U-18戦(3月24日)でもゴールを挙げた。
「青森山田に合流した時、正木昌宣コーチからはっきりと言われたんです。会うなり、『お前何になりたいんだ?』と聞かれ、『プロになりたいです』と言ったら……『腹を括ってここに来たんだろ。だったら結果を出し続けて、周りを納得させるんだ。出し続けてこそ、周りは納得する。エースになりたいんだろ?』と。心に刺さりましたね。僕の背中を押してくれた気がしました」
初日ではっきりと言われた「プロ」と「エース」という言葉。
正木のこの言葉により、中村の覚悟はより明確になった。