JリーグPRESSBACK NUMBER
新戦力OK、試合内容OK、でも6連敗。
大宮が入り込んだ迷宮の正体は何?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/14 08:00
実はJ1の開幕からの連続無敗記録も大宮が持っている。ちなみにJ1の開幕連敗記録は、引分け導入前を除くと、福岡の9連敗である。
崩されるわけではないが、点を取られてしまう。
第4節のヴァンフォーレ甲府戦は、PKによる失点で0-1の敗戦を喫した。客観的立場から少し厳しいのでは、と思える判定だった。
迷宮の入り口に立たされているとはいえ、PKを与えたシーンは相手CKの競り合いだった。流れのなかからの失点ではない。この日は攻撃がいまひとつ機能しなかったが、相手にもほぼチャンスを与えていない。ポジティブに受け止められる材料を、まだ、見つけることができた。
J1リーグ戦はここで、ロシアW杯アジア最終予選により2週間の中断となる。大宮の再開初戦は、4月1日の鹿島アントラーズ戦だった。
昨年の年間王者を相手にしたゲームは、相手にボールを握られる展開となる。それでも、「ボールを動かされてやられるシーンはほとんどなかった」と渋谷監督が話したように、ゲームの主導権までは譲らなかった。
勝敗を分けたのはミスである。自陣でボールを失ってカウンターを浴び、そのままネットを揺らされてしまう。最終ラインからビルドアップをしていく意識が、はからずも失点を招いてしまったのだ。0-1で敗れ、5連敗となった。
ボロボロの試合がないので、修正ができない。
第6節のヴィッセル神戸戦も、自陣でのボールロストが失点につながった。37分、右サイドバック奥井諒のバックパスを相手FWにカットされ、先制点へつなげられてしまう。53分には、ロングスローをきっかけに2点目を失った。リーグ最少失点タイで首位を走る神戸に、0-2で押し切られた。
6連敗という泥沼にはまっているのだから、失点を重ねているのは当然だ。ただ、チームを苦しめているのは失点の多さではない。
「相手にきっちり崩されてやられているわけではないぶん、ダメージを受けてしまう」と、渋谷監督は話す。攻撃の局面でまるでボールをつなげなかったとか、守備がボロボロだったというようなゲームがないために、思い切った修正をするタイミングを見つけられないまま現在に至っているのだ。