JリーグPRESSBACK NUMBER
新戦力OK、試合内容OK、でも6連敗。
大宮が入り込んだ迷宮の正体は何?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/14 08:00
実はJ1の開幕からの連続無敗記録も大宮が持っている。ちなみにJ1の開幕連敗記録は、引分け導入前を除くと、福岡の9連敗である。
川崎やFC東京と互角以上に渡り合うものの。
開幕戦の相手は、川崎フロンターレだった。昨シーズンの年間3位チームを相手に、大宮は互角以上の攻防を繰り広げた。プレシーズンマッチでギクシャクとしていた連係は意外なほどスムーズで、決定機とシュート数のどちらも川崎Fを上回った。
CKから先制点を献上し、一瞬のスキから追加点を与えて0-2で屈したものの、内容は上々である。大前は「選手同士の距離感や連係も含めて、今日の試合はキャンプや練習試合と比べてこれまでで一番良かった」と、次節以降への期待を膨らませた。ボールを保持しながら相手を崩すサッカーが、開幕戦にしてできていたのだ。
続く第2節では、FC東京を慌てさせた。
大久保嘉人や永井謙佑の補強で話題を集めた攻撃陣と比べても、大宮のアタックが著しく見劣りするところはなかった。新戦力のフィット感では、上回っていたと言っていいかもしれない。
川崎FとFC東京は優勝候補である。客観的な視点に立てば、連敗スタートも覚悟しなければならなかった。そう考えれば、結果はともかく内容に悲観する必要はない。キャプテン菊地光将の「やっているサッカーは間違っていない。ブレずに結果を求めていく」というコメントは、決して強がりではなかったはずだ。
何かを変えるにはまだ早い、という雰囲気。
ところが、ジュビロ磐田との第3節でも勝点をつかむことはできなかった。
アウェイゲームに臨む磐田の名波浩監督は、「大宮は昨年からの積み上げができていて、優勝候補を相手に自信を持ってボールを回していた」と話し、守備に軸足を置いたゲームプランを用意してきた。'15年以降の公式戦で大宮が1勝4分けと負けなしの成績を収めていることも、敵将を慎重にさせたのかもしれない。名波監督が率いる磐田に、大宮は負けたことがなかった。
しかし結果は、1-2の敗戦なのである。J1でいまだ勝点0のチームは、大宮だけとなった。
ただ、この日もボールを握ることはできていた。1失点目は直接FKを決められたもので、2失点目はCBのボール処理が中途半端になったことによる。守備組織に、致命的な綻びは生じていない。「自分たちでゲームを難しくしてしまった」とGK加藤順大が話したように、力負けしたわけではなかった。
渋谷監督も選手も、3連敗という事実を重く受け止めている。それでも、何かを変えるにはまだ早いとの雰囲気が、チームを覆っていた。