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菅野智之vs.米国の強力スラッガー。
禁断の球種、ケンカ腰解禁で勝負!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKoji Watanabe/SAMURAI JAPAN via Getty Images
posted2017/03/21 12:00
MLBのスカウトも注目している菅野のピッチング。黒田博樹と同じか、それ以上の活躍を期待できる、という声も。
米国戦でのリベンジに込めた秘策とは?
「できれば6回まで」と意気込んでマウンドに上がったが、結果的には4回を投げて74球を費やし7安打4失点で降板した。
「(東京ラウンドは)個人的には不本意なピッチングだったので、リベンジのチャンスを与えられて嬉しい。1週間の調整期間の中で大きく変えることはできないので、今までの反省を踏まえてやっていくのが一番だと思っています」
前日にアリゾナで行われたドジャースとの強化試合の前にブルペンに入った。63球を投げ込んだが、そのピッチング内容に菅野の反省と米国戦でのリベンジへ向けた秘策が込められている。
「選択肢の中に入れておけば有効だと思う。まずまずでしたね」
こう自己評価したのが、6球投げたフォークだった。
封印していた「フォーク」を、ついに解禁する!
大学時代からフォークは持ち球の1つで、プロ1年目には試合でも投げていた。しかし、2年目に肘を痛めたこともあって封印。その後はワンシームなど肘に負担の少ない球種を軸にして、逆にフォークはほとんど投げなくなっていた。
そのボールを解禁する。
150キロの真っ直ぐに鋭いスライダーが武器の菅野だが、米国の強力打線を抑え込むためにはもう1つ必要なのが縦の変化だ。
キューバ戦でも数球投げたが、改めてパワー系のスラッガーには有効である手応えを得ている。加えて縦の変化を見せることで、最も得意なスライダーの横の変化もさらに有効になるという相乗効果も期待できる。
「あると思わせるだけでも効果はある」
投球の組み立ての幅を広げるために禁断の球種の“解禁”に踏み切った。
そしてもう1つがインハイの真っ直ぐだ。