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酉年で、五輪の主将で浦和のCB。
遠藤航と那須大亮は好敵手で、同志。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/03/07 17:00
ボランチでも、センターバックでも那須大亮のパフォーマンスは安定している。今季18試合に出場すれば、J1通算400試合の大台に乗る。
「那須さんにポジションを取られる緊張感が常にある」
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が率いる浦和は、3バックの両サイドの選手まで攻撃に参加することが多いだけに、逆襲を受ける場面では厳しい対応を迫られることが多い。それに加え、最後方からのゲームメークも求められる。
一昔前の、相手の攻撃を跳ね返しておけば良いというポジションではない。だからこそ、同じ難しさを理解する先輩がいることは、まだ加入2年目の遠藤にとっても大きい。
だからといって、遠藤自身がポジションを安泰だと思っているわけではない。例えば、浦和の直近3試合を見れば、2月28日のAFCチャンピオンズリーグ、FCソウル戦は那須がフル出場して勝利。25日の横浜F・マリノス戦と3月4日のセレッソ大阪戦のリーグ戦では遠藤がフル出場し、1勝1敗だった。そして、リーグ戦ではどちらも那須がボランチの一角として途中出場した。ローテーション起用の中で、危機感と信頼感の両方があるのだと、遠藤は話している。
「リーグ戦で言えば、那須さんがボランチに1枚入ってくれることで、守備の感覚は言わなくても分かってくれるという信頼感はありますね。連戦はきつくとも常に試合に出たいという思いはある一方、那須さんがいると思えるというか、那須さんなら勝ってくれるという気持ちもあるので。良きライバルという感じなんだと思いますよ。僕も那須さんにポジションを取られるという緊張感が常にあるし、それは良いことだと思います。今までもそうでしたけど、それがこれからもいい方向に向かうと思っていますよ」
1つのポジションを、2人の五輪主将が争う。
那須は遠藤のことを「一回り下にはちょっと見えないですけどね」と言って笑うが、その実力を認めているからこそ『負けてたまるか』と思える。
10月には36歳の誕生日を迎えるシーズンだが、「準備をし続けないと立ち止まってしまうし、そうなった時は僕のサッカー人生の終わりだけど、まだまだやれる実感もあるんでね」と、白旗を上げる気配などない。1つのポジションを争う2人の五輪代表キャプテンが、浦和の最後方で火花を散らしつつ、最高のライバル関係を築いている。