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WBC壮行試合で見えた主力の好不調。
小久保監督は“原采配”を見習う時か?
posted2017/03/02 11:50
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SAMURAI JAPAN via Getty Images
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)まであと1週間と迫った2月28日と3月1日。福岡・ヤフオクドームで日本代表「侍ジャパン」と台湾プロ野球選抜との壮行試合が2試合行われた。
28日の第1戦では繰り出す投手が合わせて17安打を浴びて大炎上。小久保裕紀監督が「最大の武器」と語る投手陣に黄信号が灯ったが、そんなチームに光を灯したのは3月1日の第2戦に先発したエース・菅野智之(巨人)だった。
「昨日は打ち込まれたので、立ち上がりに気をつけて入りました。ランナーを出しながら0点に抑えられたのは良かった」
この福岡での壮行試合までに、野手陣は個々のコンディションを上げていくことがテーマとなっていた。しかし投手陣、特に先発投手はこれが本番前の最後のマウンドとなるので、ある程度の結果を出さなければならないという使命があった。
小久保監督も納得、菅野が見せた万全の投球内容。
その中で菅野は1回、いきなり先頭打者に初球を中前に運ばれたが、その後は内角を思い切って突く本番さながらの攻めの投球で、前日大爆発した台湾打線をねじ伏せていく。
2回、先頭打者の周思斉の2球目には、新球のチェンジアップを試投する余裕も見せて4回を4安打無失点で切り抜けた。
WBC球も意に介さず、与えた四球もゼロ。「65球に到達した打者まで」という厳しい球数制限の中で、この日の菅野の球数は58球だったので、省エネ投法への目処もつけて最終テストを終えることができた。
「欲を言えばあと4、5球、球数を減らせれば5回を投げ切れる可能性が出てくる」
本人はこう貪欲さを見せ、試合後の小久保監督からも、ようやく笑みが漏れるようになった。
「さすが菅野ですね。欲を言えばもちろん球数が少ないに越したことはないですが、とにかく与えられた試合をゼロに抑えてくれることが一番」
1次ラウンド2戦目の豪州戦は、初戦のキューバ戦に勝っていれば2次ラウンド進出決定だが、もし負けていれば絶対に落とせない必勝の試合となる。その豪州戦を任せるエースの仕上がりに、指揮官も納得の表情のコメントだった。