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WBC壮行試合で見えた主力の好不調。
小久保監督は“原采配”を見習う時か?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySAMURAI JAPAN via Getty Images
posted2017/03/02 11:50
「モノが違う」と権藤博投手コーチも称える菅野。侍ジャパン投手陣の柱として、活躍が期待される。
先発陣でもう1人、調子を上げてきたあの投手。
そしてもう1人、この試合で本番への目処をつけたのが2番手でマウンドに上がった石川歩(ロッテ)だった。
5回から3イニングを投げて球数は59球とやや多め。最後の7回に1点は失ったが、それでも3安打で6つの三振を奪う力投を見せた。
「ブルペンと同じ感覚で投げられたのが良かった」
大事な初戦のキューバ戦に先発予定の右腕は、落ち着いた表情で最終調整を振り返った。
「シンカーは右打者には良かったけど、左バッターには思ったところに落とせなかった。いつでも変化球でストライクが取れるように精度を上げていきたい」
生命線となるシンカーへの不満を口にしたが、それでも滑るボールでは制球が難しいとされるカーブをうまく使いながら台湾打線を翻弄。台湾同様に力で振り回してくるキューバ相手を想定した、緩急をつけた組み立てに自信を持った格好だ。
「どれだけ自分が貢献出来るか分かりませんが、勝ちたいです」
ヒゲの右腕は控えめな言葉でオープニング投手への意気込みを語った。
先発陣はおおむね順調な調整ぶりだが……。
現時点では、この石川がキューバ戦、菅野が豪州戦で先発し、3つ目の中国戦は、2月25日のソフトバンク戦で3回無安打4奪三振と好投した武田翔太(ソフトバンク)が任される予定だ。先発陣は、順調な調整ぶりを見せているといえる。
加えて2月28日の試合では左の中継ぎの1番手として期待がかかる宮西尚生(日本ハム)が1回3奪三振の好投を見せ、1日の第2戦でも中国戦で第2先発の可能性が高い藤浪晋太郎(阪神)とセットアッパー候補の千賀滉大(ソフトバンク)がそれぞれ1回を無失点と、投手陣は徐々に本番に向けてエンジンがかかってきている。
その中で少し不安を残したのが2月28日に投げて打ち込まれた則本昂大(楽天)だ。