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扇原貴宏は齋藤学を操れるか?
横浜FMで復活を期す男の「直感」。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/02/24 11:30
184cmという高身長で、左利き。日本人選手のボランチの中でも稀有な特性を兼ね備えている。課題のフィジカル面さえ強化されれば……。
清武や柿谷を操ったように、齋藤学とマルティノスを。
かつて扇原は、清武や柿谷ら日本でもトップクラスの攻撃陣を後方から支援しつつ、操っていた。マリノスも両ワイドに齋藤学とマルティノスというJ屈指のスピードとテクニックを持つ選手がいる。
「学くんがマリノスに残ってくれたのは、すごく大きいですね。やっぱりマリノスは学くんとマルティノスの両サイドが機能してなんぼというのがあると思うんです。自分はとくに学くんの活かし方に気を付けています。外に開いて中に切り込むことができるし、オフザボールの時に動いて裏に抜けることもできる。パスの出し手としてはすごくやりやすいです」
扇原は左利きで、齋藤と同じ左サイドでのプレーがベースになる。お互いの呼吸が合えば、1発の縦パスで裏に抜けてゴールを奪うシーンが増えるだろうし、パス交換で局面を打開していくシーンもみられるだろう。
「学くんは自分が左足で持った時に動いてくれるし、通れば1点という場面を練習で何度も作れている。持った時は『もうひとつ前を見てほしい』って言われているんで、そういうタイミングを大事にしたい。1発のパスを狙うのは自分の特徴でもあるし、学くんの特徴とも重なるので、そういうパスをどんどん狙っていきたいし、コンビネーションはこれから試合を重ねるごとに良くなっていくと思うんで、すごく楽しみです」
またロンドン五輪組と、代表で一緒に。
齋藤を活かすことは、扇原自身の能力も活きることになる。復調をアピールすることができれば、1歩前に進んでいるロンドン組のメンバーの背中も見えてくるだろう。宮崎でのキャンプ中には、清武と会う機会があったという。
「お互いに負けられへんなぁっていう話をしました。でも、また一緒にやりたいっていう話もしました。それには自分が代表に行くしかない。代表にまた行けるようにマリノスでしっかり結果を出さないと、と思っています。みんなと一緒にやりたいんで」
ロンドン五輪の準決勝メキシコ戦でバックパスをさらわれ、決勝点を献上した時、「世界の選手はあの場所で(ボールを)取られない」と涙をこぼした。
あの時から自分は成長しているのか。
マリノスは、その答えを見付け、それを証明するラストチャンスの場所になる。