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阿部慎之助、則本昂大が認める左腕。
DeNA砂田毅樹は強気に「裏をかく」。
posted2017/02/17 11:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Hideki Sugiyama
2月12日、日曜日。ベイスターズの一軍キャンプ地、宜野湾市立野球場の内野スタンドはほぼ満席となった。観客のお目当ては、初の実戦となる紅白戦だ。
紅組の先発を託されたのは砂田毅樹だった。予定されていた3回を投げて2失点を喫したものの、試合後のラミレス監督は「全体的には悪くなかった。枠は空いているのでローテーション入りを争ってほしい」と若手左腕のさらなるアピールに期待を寄せた。
砂田は2013年のドラフトで育成1位指名を受けると、迷うことなく入団。2年目の2015年6月に支配下登録をつかみ取り、同シーズン終了後には、左腕の代名詞である背番号「47」を与えられた。
大きな期待を背負って臨んだ砂田の2016年を、「良い」「悪い」の二元論で評価することは難しい。
開幕投手の石田に「マジか」と言わしめる強心臓。
序盤は先発ローテーションの一角を担いながらも、登板4試合目に挙げた1勝どまりで、定着はならず。しかし9月からは中継ぎで結果を残し、CS進出を果たした存在感を見せた。特に、左打者に対する場面で強さを発揮したことが高く評価された。
年末のテレビ番組では、阿部慎之助や則本昂大が砂田の名を挙げて絶賛していたし、すでにベイスターズの開幕投手に指名されている石田健大も、3つ年下の同僚についてこう語るのだ。
「去年のシーズンが始まった時は、砂田には勝てるなって心の中で思ってたんですけど、今年、すごくいいですね。球が全然違う。中継ぎもやって、あいつの中でハマったものがあるんだと思う。さっき聞いたら、アタマ(先発)でいくつもりだって本人は言ってたので、『おお、マジか……』と思って(笑)」
思いどおりではなかった1年を経て、周囲からの評価は高まった。そして砂田自身も、成長を感じ取っている。