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阿部慎之助、則本昂大が認める左腕。
DeNA砂田毅樹は強気に「裏をかく」。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/02/17 11:00
臆することのない投げっぷりが砂田の生命線。その強気な姿勢で、先発ローテの座を奪う気満々である。
左打者をしっかりと仕留めてから、右をどう抑えるか。
「真っ直ぐがすごくよくなったかなと思います。ただ制球するのではなくて、制球しながらも球の質が上がってきた。紅白戦はキャンプの疲れもあって調子が悪かったんですけど、ボールの感覚はいままでにないくらいいいので、この感覚をつかんで離さないようにしたいと思っています」
その紅白戦、砂田はプレートの一塁側に立っていた。昨季はラミレス監督の助言もあり三塁側に立って投げていたが、「篠さん(篠原貴行投手コーチ)と相談して、元に戻すことにした」のだという。
中継ぎ転向後、ジャイアンツの阿部から大事な場面で三振を奪うなど、左打者をしっかりと仕留めてきた印象が残っている。しかし本人としては、シーズン全体を振り返ると決して満足できる内容ではなかったようだ。
「おととしは対左の被打率が2割くらい。それが去年は、結果的に右にも左にも3割近く打たれてるんです。一塁側に立ったほうが左は楽に抑えられるので、対左をまずは2割に、その上で右をどう抑えるかを考えていこう、となりました」
「裏をかいた」ストレートで見逃しを取れた快感。
紅白戦では、ともに左打者である倉本寿彦と乙坂智の2人から奪った見逃し三振に手ごたえを得た。
「いつもだったら横スラ(横曲がりのスライダー)で空振りを取っていたところですけど、真っ直ぐで押して見逃しがとれた。三浦(大輔)さんのように裏をかくというか、『ここで?』というところできっちり投げきることを僕自身も目指しているので、その点はよかったなと思います。そうやって投球の幅を広げていけば、もっと簡単に左打者を抑えられるようになる。対右に関しても、これまではインコースに横スラをきっちり投げこむことができなかったけど、紅白戦ではそれができました」