炎の一筆入魂BACK NUMBER
優勝翌日にデビュー、防御率162点。
広島・塹江敦哉は3年目に絶対来る。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2017/01/31 08:00
香川・高松北高校時代は国公立大学を目指すコースに在学した、プロ球界でも珍しい文武両道の塹江敦哉。
鈴木誠也と同じく、感性頼りではないのが強さ。
自分自身を冷静に分析できる賢明さが、塹江の特長でもある。初の一軍キャンプとなった2015年秋。アピールしたいブルペンで、投げ終わりと同時に捕手の方へかけ降りる動きを繰り返していた。聞けば「自分の中でフィールディングが課題だと思っていたので。克服するためにはブルペンから意識しないといけない」と言う。首脳陣へのアピールが先行しそうな場でも、自分の現在地を見失わなかった。
昨季ブレークした鈴木誠也と同じように、高卒入団から感性だけでなく、しっかり頭で考えながら取り組む、意識高い系。英語も得意としており(英検2級!)、二軍では外国人選手の話し相手にもなっていた。昨年も途中加入のスティーブ・デラバーと日米の高校野球の違いについて話をしていたこともあった。クレバーさが野球でも生かされ、入団から着実に積み重ねてきたことで、早期一軍につながった。
今年期待されるのは、一軍のマウンドに上がることではない。一軍のマウンドで結果を残すことにある。「競争はあると思いますが、開幕ローテーションを狙ってキャンプからアピールしたい。自分が先発して、ザキさんにつなげられたら」。輝く瞳が、さらなる成長を予感させる。また1人、広島に楽しみな選手が現れた。