フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ジダン、監督という仕事を語る。
「忍耐強く、人の話を聞くことを」
posted2017/01/23 07:00
text by
ティエリー・マルシャン&フレデリック・エルメルThierry Marchand et Frederic Hermel
photograph by
FRANCK FAUGERE
ジネディーヌ・ジダンが、『フランス・フットボール』誌が選ぶ2016年フランス最優秀監督に選出された。
トップクラブを率いた経験がまったくなく、レアル・マドリー監督就任1年目に、2位ディディエ・デシャン、3位ローラン・ブランを抑えての受賞は、快挙といって差し支えないだろう。
同誌1月10日号では、ティエリー・マルシャン、フレデリック・エルメル両記者が、ジダンのコメントとともにその長所を分析している。ここではそこからコメントのみを抜粋してお伝えする。
コメントにはないが両記者の分析で、リーガでクリスティアーノ・ロナウドを後半途中に迷うことなく交代させ、またアトレティコ・マドリーとのチャンピオンズリーグ決勝で、延長戦に入る前に笑いながらロナウドとジョークを言い合えるところにジダンの凄さがあるという指摘も興味深い。
監修:田村修一
「最初の3週間は、朝8時から夜11時まで働いた」
最初のトレーニングのときから、僕は自分のやりたいようにやることができた。そのとき僕は、自分のときがやってきたと思ったんだ。
レアルは別の監督を選ぶこともできた。当初はそう言われていたんだが……。
(ペレス)会長が電話をくれて「じゃあ始めようか?」と尋ねたとき、僕はこう答えた。
「OK、準備はできています」と。
本当にそう感じていた。たしかに最初は少し気後れした。特に最初に選手たちと話したときがそうだった。でもそれは、3部のカスティージャで仕事を始めたときも同じだった。
就任して最初の3週間は、バルデベバス(レアル・マドリーの練習場)に朝8時にやって来て夜11時まで働いた。スタッフとやるべきこと、調整すべきことが本当にたくさんあったから。しかしまずオフィスの体制を整えて、仕事の環境つくりに専念したから、試合にも勝てるようになったんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕は勝負強いし、勝つことが大好きだ。それが僕であるし、もういいと思ったことは一度もない。
最初の敗北を喫した夜(対アトレティコ・マドリー、2016年2月27日)は、とても難しかった。たったひとつの敗戦が、すべてを無にしてしまったのだから。でもそれで落ち込んだり、取り乱してはならない。これまで通りの平常心を保ち、仕事をし続ける。そう心がけた。