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2015年ドラフト1位組の◯と×。
豊作の中でも目立ったオコエ&平沢。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2016/12/31 11:00
梨田昌孝監督とタッチを交わすオコエ。この1年間多くの楽天ファンを沸かせてきた、そのスター性は本物だ。
ルーキーながらプロ意識が高かったオコエと平沢。
投手であれば、高卒と言ってもドラフト1ならば1年目からチャンスを与えられるケースは珍しくはない。そういった意味では、小笠原は見事にそれをものにした。
驚かされるのは野手のふたりだ。
オコエと平沢。
成績こそ秀でた要素はなかったが、両者ともスタメン出場を果たすなど、来季へ向け大きな手ごたえを掴んだ。彼らに共通するのは、高卒ながら自らの現在地を把握し、プレーしていたことだ。
オコエの目標は「打率2割」だった。
オコエは1番に抜擢された交流戦頃、周囲の期待が高まるなか、こう目標を述べていた。
「今年は2割を目指します」
2割――。
その低い設定の理由を尋ねると、間髪入れずにこう返した。
「だって1年目ですよ、高卒ですよ! レベルが高いプロでそんなに打てないっすよ。本当に経験を積むことが大事なんで。今はそのチャンスをもらっているんで、できるだけ多くを吸収したいです」
今季、自らで課した数字をクリアすることはできなかった。しかし、打撃フォームの修正など、常に自身を俯瞰し、着実にレベルアップを遂げている。
平沢にしてもそうだ。
デビューからしばらく安打が出ず、二軍落ちしようとも、シーズン中は「1日でも早く打てればいいですけど、まずはしっかり準備をしたい」と冷静に自分を見つめていた。
それ以上に、野球人生初となる連戦を経験していく過程で、体のケアに気を配るなどプロ意識は高い。結果的に、それが1年目からの飛躍へと繋がった。