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ラミレス監督が明かす激戦の裏側。
DeNA初のCS、濃密な7試合の先に。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/12/28 07:00
最後の最後まで白熱した戦いを見せた巨人とのCSファーストステージ。続く広島戦も含めてラミレス監督とチームが得た経験は財産となる。
CSでの梶谷バント練習は“メディア戦略”だった。
――CSファーストステージの話に入りましょう。梶谷隆幸選手にバントの練習をさせたり、スモールベースボールで挑もうとしているとの報道もなされましたが、どんな戦略でジャイアンツを倒そうと考えていたのですか?
「それは梶谷のところでバントがあるかもしれないとにおわせるメディア戦略であって、スモールベースボールでジャイアンツに勝てるとはまったく思っていなかった。梶谷本人には『試合でバントをさせるつもりはない。ヒッティングに注力してくれ』という話をしていた。
彼を2番で起用したのも、なんとしても得点していくために1番から5番まで警戒すべき打者を並べるという攻撃的な意図があったからだ。投手に関しては、東京ドームでの成績を分析したうえで井納(翔一)、今永(昇太)、石田(健大)の順番で投げさせることを決めた。もし2連勝できれば、マツダスタジアムでいい成績を残している石田にファイナルステージ初戦を任せるつもりだった」
今永の心をのぞき見たくて、監督室に呼び出した。
――ただでさえプレッシャーのかかる敵地でのCSで、しかも突破か敗退かが決まる可能性のある第2戦にルーキーの今永投手を起用することに躊躇はありませんでしたか?
「ぼくは彼の心をのぞき見たいと思って、監督室に呼び出したんだ。彼は、自分がジャイアンツ戦で投げることになるだろうとある程度分かっていて、そのことを告げられるつもりでやってきた。
そこでぼくは、わざと真剣な眼差しで『ジャイアンツ戦のローテから外す』と伝えた。戦う姿勢を見せるのか、監督がそう言うのなら仕方がないという態度を見せるのかを確認したかったのだが、彼は迷わず『投げさせてください』と言ってきた。『7回までいけるか』と聞くと、『ボールさえもらえれば』という返事だった。期待どおりのリアクションを見せてくれた」