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ラミレス監督が明かす激戦の裏側。
DeNA初のCS、濃密な7試合の先に。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/12/28 07:00
最後の最後まで白熱した戦いを見せた巨人とのCSファーストステージ。続く広島戦も含めてラミレス監督とチームが得た経験は財産となる。
日本シリーズを戦っているかのような雰囲気だった。
――初戦は5-3でみごとに勝利を収めました。
「ジャイアンツファン以上にベイスターズファンの声援が聞こえてきて、日本シリーズを戦っているかのような雰囲気だった。井納がベストなピッチングを7回まで続けてくれて、梶谷、筒香(嘉智)、ロペスのホームランがあり、最後は山崎(康晃)が締めくくった。この試合のポイントを挙げるなら、8回のマウンドに三上(朋也)ではなく田中(健二朗)を送りだしたことだ。
三上の状態がよくなかったことに加え、ジャイアンツ打線は左投手を得意としていなかったので(いずれも左腕の)田中と砂田(毅樹)をブルペン待機させる戦略をとっていた。8回、田中で2アウトを取ってから三上に継投する作戦がうまくいき、勝ちにつながった。初めてのCSでまず1勝することができて、すばらしい気分だった」
1勝1敗の第3戦で石田を続投させた根拠。
――接戦となった第2戦を落としたことで、第3戦は引き分けでも敗退という状況になりました。追い込まれたという感覚はありましたか?
「第2戦は負けはしたが、今永は(7回)2安打しかされていない。やはり得点を重ねなければ勝てないという思いを強くした。第3戦は序盤に3点を取ることができたものの、6回に村田(修一)選手のホームランで同点に追いつかれて、危機的な状況に立たされてしまった。ここまで来たからには、まだ終わるわけにはいかないという心情だった。同点ホームランを打たれた場面は、先発の石田を、この打席まで投げさせてから継投に入ろうと考えていたところだった」
――その前の打席で、石田投手は村田選手のひざにデッドボールを当てていました。その打者のところまで投げさせるというのは、なかなかタフな要求だったように思います。
「たしかに、死球を受けた後の村田が高いモチベーションで打席に入ってきたことは間違いない。ただ、石田の球数はまだ70球を超えたところだったし、球速も142、143kmぐらい出ていた。しかも、(左腕でありながら)対右打者の被打率が.211と対左打者よりもかなり低いこともあり、石田以上の選択肢はないと判断した」