プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「戦力不足」だった高橋巨人1年目。
勝つしかない覚悟と、世代交代と。
posted2016/12/28 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Naoya Sanuki
戦力がなかった。
2016年の巨人の敗北を振り返ったとき、もちろん様々な問題が浮上してくる。ただ、根本的な要因を1つ挙げるとすれば、「戦力不足」という言葉に尽きるのかもしれない。
この言葉には多くの野球ファンから反論があるかもしれない。
「巨人にはいっぱい選手がいるじゃないか!」
確かに阿部慎之助を筆頭に、野手では坂本勇人に村田修一、長野久義がいる。FAで獲ってきた片岡治大やドラフト1位捕手の小林誠司に若手のホープと言われた大田泰示や岡本和真もいた。加えて昨オフにはロッテからルイス・クルーズを“強奪”して、年俸3億円の大物助っ人、ギャレット・ジョーンズも獲った。投手陣を見回してみてもエースの菅野智之に内海哲也、杉内俊哉のベテラン両左腕、FA移籍してきた大竹寛に2年目の高木勇人、'15年のチーム勝ち頭のマイルズ・マイコラス、鉄腕リリーバーの山口鉄也やクローザーの澤村拓一……。こうして並べてみても一般的にも知名度の高い(年俸の高い?)選手が揃っているのは確かである。
シーズンを通して安定して活躍した選手が、少ない。
しかし、前述した選手の中で、いったい誰がシーズンを通じて機能しただろうか?
打者では首位打者を獲り本格ブレークした坂本と復活を果たして3割2厘を打ったベテランの村田ぐらいで、投手陣でも先発の柱となった菅野と37セーブで救援タイトルを手にした澤村の名前が挙がってくるだけだ。
若手の田口麗斗が2桁勝利を挙げる活躍を見せたが、シーズンを通じて先発ローテーションを維持できたのは菅野と2人だけ。しかも村田も澤村も、良くやったといえば良くやったかもしれないが、安定感に欠けるなど不安がなかったかといえば、そうとは言い切れない部分もある。