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原口元気は空回りせず、熱く闘う。
「ゾーン」をつかみつつある充実。
posted2016/12/18 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
原口元気のストイックな姿勢は変わらなかった。それでも、彼はガムシャラなようで、冷静でもあった。
12月11日、リーグのなかで唯一、ホームゲームで全勝していたヘルタがホームでブレーメンに不覚をとった翌日のこと。今シーズンのリーグ戦で初めて出番がなかった原口の姿が、ヘルタの練習場にあった。
練習開始からおよそ1時間半が経ち、チームに課せられていたすべてのメニューが終わった。ほとんどの選手がクラブハウスへ戻るのをしり目に、原口はコーチをともなって、グラウンドの奥のスペースへと向かった。
5kgの重りを巻きつけて30m全力疾走。それを5往復。
5kgの重りを腰にまきつけ、30mほどの距離を全速力で走り抜ける。それを5往復、繰り返した。
「試合と同じ負荷はかけられないけど、どうしても、それと似たような負荷をかけたくて。明日が休みなのでね。今日はトレーニングをしっかりとやって、明日はリカバリーをしよう、というイメージだったから」
原口は、練習が始まる前から、腰にまきつける重りを用意して欲しいとコーチに伝えていた。それでも、ガムシャラに身体を追い込んでいるわけでもなく、試合に出られなかった怒りをぶつけるわけでもない。チームで行なった練習の2対2のメニューが想像していたよりもハードなものだったので、重りをつけての走り込みの量を少しだけ減らして微調整した。
大事なのは、試合に出たときにかかるのと同じような負荷をかけ、身体を一定程度疲労させつつも、それを回復させていく作業を続けること。試合に出られない日が来たとしても、一連の流れを変えるわけにはいかない。
すべてのメニューを終えたあと、原口は現状について口を開いた。