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原口元気は空回りせず、熱く闘う。
「ゾーン」をつかみつつある充実。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/12/18 11:00
屈強なマーカーに挟み込まれても、臆せずに最善のプレーを。原口は精神面の重要性を胸に、自らの価値をさらに高めようとしている。
「一番大きいのはメンタル面の疲れかな、と」
「コンディショニングは十分にやっていたと思うので……。もちろん、そのクオリティで上げるべきところはあるけど、一番大きいのはメンタル面の疲れかな、と。開幕戦とか、代表戦の大事な試合のようなモチベーションで全てやるのはまだ、不可能なので。
もちろん、どの試合も勝ちたくて、『やってやるぞ!』という気持ちで臨んでいるけど、どこかで違うところがあるのかもしれない。もっとメンタル的に充実させないと。自分みたいなタイプの選手は、ただ冷静にプレーするわけではないし。ハードにやらなきゃいけないタイプの選手は、そこが少しでも低下すると、上手くいかないかなと思っています」
もちろんドイツと日本の往復によって、身体に負担がかからないわけではない。例えば、10月のAマッチウィークでのことだ。この時はオーストラリアで行なわれた日本代表戦の直後、原口はメルボルンから30時間以上かけて自宅に着いた。そこから24時間も経たないうちに敵地ドルトムント戦のための遠征に向かったこともある。
体力的には負担は大きかったが、それはメンタル面を充実させることで乗り越えられると考えている。
心のコンディションを整える作業を本格化させる時。
ハードな日程のなかで身体をケアする術は、長年にわたる経験によってある程度の手ごたえを得られるようになってきた。
今度は、心のコンディションを整える作業を本格化させないといけない。原口はそう考えている。
もちろん今シーズンのようにA代表の最終予選という、大きなプレッシャーのかかる試合を、クラブでの活動と並行しながらこなしていくのは初めてだ。それゆえに、まだ取り組むべきことはたくさんある。
ただ、ここで1つの、疑問がわく。
気持ちが空回りしないのは何故なのだろうか。