2016年の高橋由伸BACK NUMBER
山口俊&森福獲り、大田放出……。
由伸巨人のストーブリーグを観察!
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/11/16 11:15
期待されていた大田を手放した一方で、FAとトレードで実績あるピッチャーを次々と獲得しようとしている由伸巨人。やはり野球は投手力、ということか。
森福の「Cランク」には松坂を獲り逃がした伏線が!?
そういえば今回のFA宣言でも私が気になったのはDeNAの山口俊投手。各紙で「FA号泣表明」と伝えられた。なんで泣くのかなぁ、ジメっとしてるなぁ。
と思ったら「由伸巨人」が手を挙げるという。そうですか……。
FAのランクは所属する球団での年俸順位によって決まる。年俸が1位~3位に入っていると「Aランク」、4位~10位だと「Bランク」、11位以下は「Cランク」。Cランクの選手は人的補償や金銭補償は不要となる。
これで面白かったのが「日刊ゲンダイ」(11月5日)の記事だ。
「巨人のFA補強 『災い転じて森福と成す』!?」
ソフトバンクの中継ぎ左腕・森福允彦は年俸1億2000万円(推定)だが、チームの10位に入っていない。「実はこれにも巨人が思わぬ形で貢献している」という。2014年オフ、巨人は松坂大輔を獲らなかった(獲り逃がした?)。松坂はソフトバンクに入団した。
この結果、「松坂が今も高給取りでいてくれるおかげで、森福が年俸トップ10からこぼれた」わけである。森福の「Cランク」にはそんな因縁があるという話。
私はFAよりもトレードが好きだ。お金で解決はプロとしては当然いいんだけど、こちらも相応の選手を出すという本気を見たいからだ。
長嶋政権の2年目と言えば「起死回生の大トレード」。
この連載の7月時に次のように書いた。高橋由伸は引退直後に青年監督になったという点で長嶋茂雄に似ている。長嶋さんの1年目は最下位だったが、2年目に見事に優勝した。
《2年目に何が変わったのか。目立った変化は「日本ハムから張本勲を、太平洋(現・西武)から加藤初を獲得」「高田繁をサードにコンバート」「新戦力の台頭」などである。トレードとコンバートという大胆な政策を駆使した。
あのときの長嶋監督に高橋由伸が似ているというなら、今から今オフの「巨人、起死回生の大トレード」には注目しておかなければならない。現在はFA制度があるが、本当に改革をする覚悟ならFAの利用ではなく、自らも大出血をする大トレードを私は望みたい。》