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FA戦線で気になる「プロテクト外」。
人的補償の“狙い目”を探すと……。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/11/13 11:00
FA移籍か、残留か。オリックス糸井の去就は阪神の選手も密かに気にしているのかもしれない。
分厚い選手層を誇るソフトバンクで外れるのは……。
<ソフトバンクのプロテクト予想>
2005年のドラフトで王貞治監督(当時)が陽の1位当たりクジを引いたと勘違いしてガッツポーズを取ったことがある。実は当たりクジは日本ハムのほうにあったため、笑顔の陽は一転して泣き崩れた。11年前のこのシーンをソフトバンクフロントが「借り」だと考えれば獲得に向かうかもしれない。
現在の外野陣を見ると中村晃、柳田悠岐以外はポジションが一定していない。明石健志、江川智晃、城所龍磨、福田秀平、吉村裕基に若手の上林誠知、釜元豪、牧原大成、さらにU-23ワールドカップで4本塁打を放ちMVPに輝いた真砂勇介など多士済々な顔ぶれが揃う。それでも走攻守が高いレベルで揃う陽は、常勝をめざすソフトバンクなら欲しい選手だ。
もし獲得に向かえば人的補償のリスクが待っている。プロテクト候補は、投手は主戦の武田翔太、千賀滉大、和田毅、中田賢一、東浜巨、岩崎翔、森唯斗、攝津正、大隣憲司、飯田優也が間違いないところで、若手の松本裕樹、高橋純平、笠原大芽も圏内だと思う。ボーダーラインは寺原隼人、山田大樹、岡本健あたりだろうか。
野手は大変だ。主力の内川聖一、松田宣浩、柳田、中村、今宮健太、長谷川勇也以外でも本多雄一、明石、福田、さらにキャッチャーは弱点だけに高谷裕亮、斐紹、栗原陵矢は外せない。
上林、真砂、牧原など次代の主力候補に、江川、吉村など貴重なバイプレーヤーもいる。誰をリストから外すか頭を悩ますところだが、日本ハムは若手主体のチームなのでベテランの江川、吉村には触手を伸ばさないと考え、2人を外した。
岸獲得を目指す楽天は松井稼頭央を外す選択肢も?
<楽天のプロテクト予想>
岸の獲得をめざしている楽天もプロテクトが必要になってくる。投打とも主力にビッグネームは少ないが、近年のドラフトの成果か若手に好素材が揃っている。
投手は則本昂大、美馬学、塩見貴洋、松井裕樹、釜田佳直、安樂智大、辛島航が安全圏で、西宮悠介、金刃憲人、福山博之のリリーフ陣、若手の森雄大、古川侑利、小野郁までがプロテクトの有力候補になるだろう。
野手は大ベテランの松井稼頭央はリストから外すと思う。捕手は嶋基宏、足立祐一、小関翔太、内野手は今江敏晃、藤田一也、茂木栄五郎、銀次、外野手は岡島豪郎、聖澤諒、島内宏明の10人。
さらに若手のオコエ瑠偉、内田靖人、吉持亮汰、三好匠、福田将儀を入れて投打を合計して28人が私が考えるプロテクト組。投手の武藤好貴、石橋良太、大塚尚仁、菊池保則、青山浩二、野手の哲朗、中川大志、枡田慎太郎は外した。