セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
セリエA初得点の地での屈辱と酷評。
本田圭佑は最後通牒を告げられたのか。
posted2016/10/28 11:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
何の言い訳もきかない。金色の背番号10が、降りそぼる小雨に濡れていた。
ミランが完敗を喫したジェノバで、本田圭佑もまた千載一遇のチャンスを逸した。この代償は、きっと高くつく。
25日のジェノア戦は、今季10節目にして本田がようやく与えられた初先発のチャンスだった。
しかし、彼はシュートを1本も打たず、消極的にピッチをうろついただけだった。さらに、最初の失点に繋がる致命的なミスも犯した。
ミランはジェノアに3失点した末に敗れた。62分に途中交代した本田に、地元メディアが軒並み落第点を与えたのは公正な見立てだった。
「低評価は失点のミスだけによるものではない。本田が試合に入ることは一度たりともなかった」(『コリエレ・デッロ・スポルト』)
ユーベ戦から中2日のジェノア戦で好機到来も……。
本田は今、ミラン入団以来最大の難局に立っている。
クラブの方針転換によって、今季開幕から若手イタリア人選手を重用しつつ順調に勝ち点を積み重ねるミランにあって、30歳になった本田のプレー機会は激減した。
日本代表合流中に痛めた左足首故障の影響もあったとはいえ、前節ユベントス戦までの今季出場時間は20分にも満たなかった。
10番の存在感が薄まっていくのと反比例するように、ミランは好調の度合いを増した。サン・シーロに首位ユベントスを迎えた前節では、5連覇王者を破る大金星を上げ、リーグ戦順位を一時2位タイにまで浮上させたほどだ。
ただし、上位争いの緊張とそれに伴う連戦での疲弊を危惧した指揮官モンテッラは、ユーベ戦の後「(中2日で臨む)ジェノア戦では先発をいじらざるをえないだろう」と、本田の起用を暗示していた。