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インテル、ユーベ撃破もまだ不安定。
デブール新監督は長友をどう使う?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/09/23 08:00
現役時代ロングフィードの名手として鳴らしたデブール新監督を納得させるパフォーマンスを。長友は単なる“まとめ役”で終わるつもりはない。
「タイトルをとれるだけのプレーヤーは揃っている」
一つの大きな勝利は、チームを好転させるスイッチになる。
ユベントス戦の78分、逆転の決勝ゴールをFWペリシッチが叩き込んだ。その直後、クロアチア人ウイング目がけて、インテルのベンチ組が全員飛びかかり、歓喜の渦を作った。
90分に退場者を出したインテルは、王者相手に6分のロスタイムを10人で耐え凌ぐと、値千金の大きな白星を手にした。総額1億6170万ユーロの巨大補強をした5連覇王者ユベントスを撃破しての一勝は、確実に単なる勝ち点3以上の価値がある。
それでも、指揮官デブールは浮かれない。
「今夜の結果が自信をもたらしてくれるのは確かだ。しかし、我々はリアリストであるべきだよ。ユーベに勝ったからといって、次のエンポリとその次のボローニャに負けることだって十分に起きうる。今日の試合で見せたチームスピリットこそ、どこが相手でも毎試合見せていくべきものなんだ。大事なのはチームとしてのプレーを信じ抜くこと、最後まで戦い抜くことだと思っている。(タイトルを)勝てるだけのプレーヤーは揃っているのだから」
同点弾をアシストしたMFバネガは「俺たちはここから勝者になるぜ。今夜のサン・シーロの雰囲気は最高だった」とチームの転機を強調し、やはり新加入組のMFカンドレーバも「俺たちはここから再スタートだ」と同調した。
ギスギスしていたパーツたちが擦り合わさって、オイルが浸透し、循環する。インテルのエンジンは滑らかに回り出した。
次節エンポリ戦から、インテルと新監督デブールにとって本当のシーズンが始まる。