野球のぼせもんBACK NUMBER
目指す境地はトリプルスリーよりV3。
柳田悠岐、4戦連続HRを生んだ「左脇」。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/08/30 11:30
柳田と言えば豪快なフルスイングのイメージだが、その前の“力を抜いた”フォームも一見の価値がある。
ミスした翌日の試合で強烈な弾丸ホームラン。
さぞかし眠れぬほどの思いをしたのだろうと話を向けると、「いや、そこは、いつも通りにちゃんと寝ました」と返すあたりは柳田らしいのだが、天然キャラには違いなくとも、実は真面目気質な男。苦しみは相当なものだった。
でも、昨年トリプルスリーを達成した男は、やはり只者ではない。
「本当に翌日の試合ギリギリまで普通の状態じゃなかったけど、試合に入ると案外フツーにやれました」
26日、マリーンズ戦の初回2アウト走者なしで回ってきた打席。相手エース石川歩の146キロに持ち前のフルスイングで応戦した。打球はとてつもないスピードでセンター方向へ舞い上がり、バックスクリーン左のスタンド中段へ突き刺さった。
「すごい気持ちが入って飛んでくれた」
柳田はこの一発を含めて2安打4打点の活躍。チームは52試合ぶりの2桁得点を挙げて、11対3で圧勝した。この日ファイターズが敗れたため、再度「マイナス0.5差」で首位を奪い返した。
昨年も成し遂げられなかった4試合連続アーチの理由。
柳田のバットは、ここにきて絶好調モードである。
じつは痛恨の逆転負けを喫したあの試合でも本塁打を放つなど3打数3安打2打点と、チームには十分に貢献していたのだった。
その25日の試合から28日まで、4試合連続アーチを記録している。3戦連発の時点ですでに自身初の出来事だった。偉業を成し遂げた昨季ですら見られなかったゾーンにいよいよ突入している。
「何かを変えたわけじゃないんですけどね。しいて言えば、状態が悪くなるとフォームをコロコロ変える方なんですが、ここ最近は変えていません。それがいいのかな」