2点先制された時によぎった、再びの悪夢。

　コロンビア戦、室屋はナイジェリア戦の時とは別人のように積極的に前に出た。

　攻撃的MFの矢島が内にポジションを取り、サイドのスペースを空けることで室屋の攻撃力を生かしたのだ。守備も組織的にコンパクトに出来ていた。「“前半0－0”が自分たちのゲームプラン」という言葉通り、自分たちが思い描くゲーム運びをしていた。

　だが後半14分、失点すると20分にも失点し、0－2に。

　室屋はナイジェリア戦の悪夢を思い出した。また、ここからズルズルと失点を重ねてしまうのではないか……。一瞬、そう思った。

「前半、あれだけいい守備が出来ている中、後半に失点した。1点目の失点でチーム全体がショックをまだ引きずっているところで2点目を喰らってしまった。失点しても引きずらずにプレーすることが大事なのは分かっていたけど、この2点目のショックは大きかった」

　オウンゴールで2点目を献上した藤春廣輝の気持ちは痛いほど分かった。普通は落ち込むところだが、藤春はそのミスを挽回しようと必死だった。

　室屋は、ここで自分もふさぎ込んでいるわけにはいかないとギアを上げた。

「本当に全員がハードワークできた」

　後半22分、中央突破から浅野拓磨がゴールを決めるとムードが変わった。日本に勢いが出て、同点に追い付く流れが出来た。すると中島翔哉が豪快なミドルシュートを決めて2－2に追い付いた。

「ここまで来たら引っ繰り返そうと思っていました。最後、何本かチャンスがあったし、そこは決めきれなかったですけど、攻撃陣は最後まで走り続けてくれたし、拓磨も最後まで裏を狙い続けてくれた。本当に全員がハードワークできた。全員で取り返した2点だと思うし、次につながる2点だった。こういうサッカーができれば次もかならずチャンスがあると思います」

　試合後、室屋は胸を張ってそう言った。

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