リオ五輪PRESSBACK NUMBER
諦めの悪い男、室屋成が帰ってきた!
コロンビア戦ドローを導いた精神力。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2016/08/10 16:00
ナイジェリア戦での悔しい思いは、コロンビア戦にシッカリと活きた。ミスして落ち込んでいる暇は無い!
チームメイトに慰められても、悔しさが止まらず。
ホテルに帰り、暗い表情でいると「気にするな」とみなに肩を叩かれた。
遠藤からは「俺もACLでミスして失点したことがある。でも、ミスを引きずっていても仕方ないし、チームのためにならない。大事なのは次のプレーに勇気をもってやれるかどうかだと思う」と言われた。
「そうだな」と思う反面、チームに迷惑かけた申し訳ない気持ちと悔しさからすぐには冷静になれなかった。部屋に戻ってもあのシーンが何度も脳裏で繰り返された。
「その夜はなかなか寝れなかったです。やっぱり悔しかったんで……」
「次からはミスしても思いっきりやろう」
翌日、昼間にミーティングが行なわれた。
良いシーン、悪いシーンの映像が流され、そこには緊張し、ナイーブになり、ミスを引きずっている自分がいた。しかし、映像の中の自分と逃げずに向き合うことで、ナイジェリア戦の90分を冷静に考えることができた。
「チームのミーティングで映像を見て、監督から『いつもならこういうのは起こっていないよな』と言われた。五輪の初戦という緊張感もあるけど、失点して後ろがバタついて試合の流れの中で慌ててしまった。しかも裏を取りやすい状況だったんで縦に速いサッカーになり、それが得意なチームと打ち合いになり、自分たちにとって分が悪いサッカーをしてしまった。そこで落ち着いて中盤でポゼッションをして1回整えてからサッカーをするのが大事だったと思います。守備は、すぐに失点して責任を感じて受け身になってしまった。そこで勇気をもって、できるだけラインを高くして、後ろから声を出して指示していかないといけなかった」
いつも通りのプレーができていない自分に驚いた。これではチームに迷惑をかける。ミスしても最低限自分のプレーを心がけようと思った。
「1回ミスしたのを引きずって1試合をムダにしてしまうのはもったいない。五輪の1試合はただの1試合じゃないですからね。次からミスしても思い切ってやろう。ミスしてもプラスに考えてやろう。ミスを取り消すチャンスがあると思うことで、とにかく前を向いて絶対にやってやろう……そんなことをコロンビア戦までの2日間で考えていました」