ハリルホジッチに相談した時の答えは？

――一部ではマルセイユの財政面を心配する報道もありましたが……。

「SDからは、今シーズンは抜ける選手も多いけど、若い選手を加えてクラブを変えていきたいんだと説明されました。ヨーロッパで名門と呼ばれるクラブでも、キャリア終盤の高額な選手をとって失敗するところも多いし、同じようなことはしたくないと話してくれて。そうした考えは理にかなっているなと思ったし、信頼できました。

　実際に、選手としての待遇も、ドイツにいたときよりもかなり上がっていますしね。やっぱり、CLやELに常に出場することを求められているクラブが、昨シーズンのようにリーグで13位になったら、周りからは財政難と言われてしまうんでしょうね」

――交渉に臨む前に、日本代表のハリルホジッチ監督にも相談したと報道されています。かつてはPSGで監督をしていたりと、フランスサッカー界に精通しているハリルホジッチ監督からはどんなアドバイスを？

「マルセイユとはフランスでは真のビッグクラブで、ファンからの期待やプレッシャーは他のどのクラブよりも大きいという話を聞きました。ここでは成功すれば神さまのような扱いを受けるし、失敗すれば大きな批判を浴びる。だから、それくらいの覚悟を持っていかないと、戦っていけないと言われました」

ハノーファーの契約延長を保留して、上を目指した。

――最終的に、正式なオファーが届いたのはいつだったのでしょう？

「6月の代表戦の2試合目が終わった夜（6月7日）に、書面で正式なオファーが来ました。他のチームからもオファーがありましたが、このタイミングで別のクラブには断らせてもらいました」

　2012年の夏に柏レイソルからハノーファーへとやってきた酒井の契約期間は4年間だったので、その契約は、昨シーズン終了後に満了していた。

　一般的な移籍の場合には、選手が所属しているクラブとの残りの契約年数と選手の価値に応じた違約金（＝移籍金）が発生する。ただ酒井の場合は、契約期間を満了するために、マルセイユはハノーファーに対して違約金を払わずに獲得できる状態にあった。さらに、昨シーズンが終わる直前に酒井は、ドイツ以外のクラブでプレーしたいという希望を持っていた。

――ドイツ以外のチームでのプレーを考えていたのは、なぜでしょうか？

「実はハノーファーでも監督から呼ばれて、契約を延長したいと言われていて、それはすごく嬉しいものでした。4年間やってきたことが認められたわけだから。ただ、贅沢な話ですけど、やっぱり契約満了のタイミングだったので……」

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