「マルセイユに来たということは、いい選手だろう？」

――では、マルセイユでは具体的にどういった部分で成長していきたいと考えているのでしょう？

「まずは、メンタリティ。マルセイユでは勝者のメンタリティが求められるし、選手たちも自信を持っていますよね。チームメイトからも、『おまえは日本人だけど、マルセイユに来られたということは良い選手なんだろう』という風に見られますし」

――具体的なプレーについてはどうでしょう？　攻撃参加もこれまで以上に求められそうですか？ 

「まずはディフェンダーですから、守備をしっかりしないといけないです。そのうえで、同点で試合が進むことや、相手が引いて来ることも増えてくると思うんですよね。勝ちに行く戦いを体験できるのはすごく楽しみです」

――弱者の戦いをするのでは、マルセイユのファンも納得しないでしょうね。

「パッシ監督から言われたのは、マルセイユというクラブは常に試合のイニシアチブをとらないといけない、と。そのためにはサイドバックもポジションを高くとって、相手の守備陣を少しずつ崩していくんだ、と」

――酒井選手はそういうメンタリティに惹かれたわけですよね？

「そうですね」

1人が活躍すると、他の日本人も移籍しやすくなる。

――ここまでの話を聞く限り開幕が待ち遠しいのでは？

「とにかく、これからの2年が勝負だなと思います。この2年間で結果を出せば、それがマルセイユなのか、他のクラブなのかはわからないですけど、今よりもう1つ上のステージに行けるでしょうから。やっぱり、『良い選手』になりたいんですよ。そのために、『良い』とされるチームの一員になる。良いチームで試合に出ている選手がやはり『良い選手』でしょうから」

――ブンデスリーガと比べ、フランスのリーグ・アンは日本では知名度が低い部分もあります。不安はありますか？

「ドイツにはあれだけ多くの日本人選手がいるから、自分が何もしなくてもニュースでも報道されるじゃないですか。こっちに来るとそうはいかないので、自分がもっと活躍して、日本の人たちにいいニュースを届けたいですよね。

　あとはマルセイユはもちろん、フランスリーグに日本人が来てくれるような状況を作りたいんです。2年前にハノーファーにキヨくんが来てくれたとき、すごく嬉しかったんですよね」

――それは仲が良い選手がチームメイトになったからという理由だけではないですよね？

「はい。日本人選手がそのクラブやリーグで上手くやれていなかったら、新たに日本人を獲ろうとはしないじゃないですか。そういう意味で、そこまでのハノーファーでの自分の振る舞いやプレーが、ある程度認められたというか、そういう部分もあるのかなと思えたんですよね」

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