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マルセイユ移籍の酒井宏樹を直撃!
「26歳、上に行けるか今が勝負の時」
posted2016/08/03 11:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Yusuke Mimura
真っ黒にやけた肌が一目でわかる白いシャツを身にまとい、酒井宏樹はインタビューの会場となる、行きつけの日本食レストランに姿を現した。
南仏の港町マルセイユが、酒井にとっての新たなホームである。地中海に面した街に照りつける日差しは強く、気温も高いため、オリンピック・マルセイユの夏季の練習は夕方の6時から行われる。日中に比べれば弱まってはいるが、それでも強い日差しで日焼けするのは避けられない。
新居は決まったが、家族が日本からやってくるのは、チームのキャンプなどが落ち着いてから。それまではもっぱら、この日本食レストランで食事をとっているという。料理の味はもちろんのこと、出される食材がすべてグルテンフリーであることも酒井が足しげく通う大きな理由だった。
「昨シーズンも家族の協力で食事には気をつけていましたけど、今シーズンからはより気を使うようになったんですよ」
食事に箸をすすめつつ、新天地を選んだ理由から今後のプランまで、酒井はリラックスして話してくれた。
守備を高く評価され、マルセイユに移籍。
――オリンピック・マルセイユから興味を持っていると知らされたのは、いつごろでしょう?
「昨シーズンの残り5、6試合くらいになったころですね」
――ちょうど4月の上旬くらいですね?
「はい。シーズン残り3試合の時点で、マルセイユのスポーツディレクター(SD)が実際にドイツに来てくれて、会うことになりました。でもすぐに交渉するわけではなく、まずは話をしようということでした」
――シーズン終盤のインゴルシュタット戦ではゴールも決めていましたが、それも移籍の後押しになったのでしょうか?
「それが直接の決め手というわけではなくて、以前から興味を持ってくれていたみたいです。あの試合では前半のチームの戦いが悪くて、後半になってから巻き返したのですが、『後半のような(攻撃的な)戦いをマルセイユはいつもするんだ。あれくらいゴールに向かって行ってくれて大丈夫だ』とは言われましたね」
――酒井選手のどういった部分を評価していると?
「まずフランスに来て感じたのは、選手たちのポテンシャルの高さです。足がとにかく速いんですよ。そういう選手たちに対応するための、守備の部分を評価してくれたようです。もちろんマルセイユは自分たちから攻めていくチームで、攻撃の部分での貢献も求められるんですが、守備のところを評価してくれた印象が強いです。
日本人選手として、ポジショニングがしっかりしていることや、サイドバックとしてはそれなりに身長もあって、ヘディングで競り負けないのも評価してもらえたようですね」