オファーがなければ、日本復帰も可能性があった。

　ただ、いくら移籍金ゼロであっても、名門や強豪と称されるクラブからオファーをもらうのは簡単ではない。

「レイソルを出たときに成長して帰ってきたいと言った以上は、今はまだ帰るわけにはいかないですよね」

　昨シーズンの終わりにはそうも話していた。

　結果的にはマルセイユやドイツのチームだけではなく、ギリシャのオリンピアコスやオランダのアヤックスなどが興味を示していると報道された。しかし、逆にオファーがなければハノーファーと新たに契約を延長するか、レイソルを含めて日本への復帰も検討せざるを得ない状況にあった。

――勝利を義務付けられるようなチームからオファーをもらうのは簡単なことではないですよね？

「そうですね。自分が本当に望んでいるようなチームからのオファーが来なければ、ハノーファーに残留するか、日本に帰るしかないと腹をくくって交渉していたので。だから、僕が望んでいるチームとだけ交渉して欲しい、と代理人にはあらかじめ伝えていました」

上に行ける選手かどうかが決まる年齢、という感覚。

――正式に決まるまでは焦りや不安をおぼえることも？

「ありましたね。マルセイユのSDがハノーファーまで会いに来てくれた時点で、きちんとしたオファーにつながりそうな手ごたえはあったけど、代理人も慎重になって『正式なオファーが届くまでは、何もないと考えておいたほうがいい』と言っていましたし」

――強豪以外への移籍は考えない、というのはかなり勇気のある方針に見えますが？

「僕も、もう26歳。ヨーロッパのサッカー選手って、これくらいの年齢でふるいにかけられることが多いじゃないですか。上に行ける選手なのか、行けない選手なのかと。そこで声がかからなかったら、潔く割りきるしかないと考えました。

　ただ、こうやってもう1つ上のステージでチャレンジするチャンスを得られた。それも何かの縁ですし。チャレンジの場を提供してくれたクラブと代理人にはすごく感謝しています」

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