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チェルシーの青をイタリアの青に。
コンテ新監督は労働と堅守を求める。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/07/21 11:20

チェルシーの青をイタリアの青に。コンテ新監督は労働と堅守を求める。<Number Web> photograph by AFLO

堅守速攻でタイトルを獲得したモウリーニョとも決別したチェルシーの業は深い。コンテ流はこの地でも成功するか。

労働を尊ぶ「ブルーカラー」の青でもある。

 その新監督が持つ青写真は、現状は文字通り“青”一色と見受けられる。第一にコンテ自身が「ブルーカラー」風の指揮官だ。一般的には労働者階級を意味する言葉だが、その特長でもある「ひたすら仕事に打ち込む姿勢」は成功の秘訣と理解されてもいる。

 会見でのコンテは、大物が揃うエリート監督の世界としての今季プレミア像や、モウリーニョの「スペシャル・ワン」に匹敵するニックネームに関する質問には取り合わなかったが、「自分はワーカー」だとはっきり言った。

 過去に手にした栄光も「懸命に働いた結果にすぎない」と言い切っている。努力の人であることは、国内紙の記者たちが「まだ限られてはいるが、このペースで伸び続ければ脱帽もの」と言っていた会見での英会話力からも明らかだった。

 新たに指揮を執る「働く男」は、「今、このチームに最も必要なもの」として挙げた「勝利」を実現するべく、会見場と同じく練習グラウンドでも「ワーク! ワーク!! ワーク!!!」と言って選手たちの尻を叩くだろう。

「ゴッドファーザー」という通称の由来は?

 実際、早くも二部練習が当たり前。オフ明けの体を絞るには妥当な選択のように思えるが、歓迎しない選手は多い。

 だが、不平は禁物だ。祖国での数あるコンテのニックネームの1つは、逆らわない方が良いという意味での「ゴッドファーザー」。昨季前半までのモウリーニョ体制下で、鞭が入り過ぎて音を上げたチェルシー主力勢の反応が注目される。

 その1人であるエデン・アザールに関しては、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドを引き合いに出して才能を高く評価する発言はしているが、「トップ・トップ・トップ・トップ・プレーヤーへと成長して、そのレベルを維持してもらいたい」とも言っている。コンテが求める「ワーク」のレベルは非常に高い。

【次ページ】 ユベントスでの成功は、負けない守備から始まった。

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アントニオ・コンテ
チェルシー

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