プレミアリーグの時間BACK NUMBER
チェルシーの青をイタリアの青に。
コンテ新監督は労働と堅守を求める。
posted2016/07/21 11:20
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
7月半ば、チェルシーのアントニオ・コンテ体制が静かにスタートを切った。14日の就任会見は、お披露目会場こそ従来と同じスタンフォード・ブリッジ上階のハリス・スウィートだったが、報道陣の入りは半分程度。どのメディアも一般ニュース班の姿は殆どなし。昨季は10位に終わったとはいえ、まるでプレミアリーグ中位クラブでの就任会見のようだった。
コンテはMFとしても監督としてもユベントスで数々のタイトルを手にし、前職のイタリア代表監督としては、近年稀に見る小粒な母国代表を率いてベスト4入りにあと一息まで迫った実力者だ。
しかしながら、前週に就任会見を行ったジョゼップ・グアルディオラとジョゼ・モウリーニョほどのネームバリューを持たない。おまけに英国内は、1年を通じて唯一とも言える「サッカー閑散期」の最中。各紙のスポーツ面もサイクリング、ゴルフ、そしてクリケットの国際大会に関する報道が優先されるタイミングだった。
就任会見2日後のプレシーズン初戦も、まだ調整段階とすら言えない状態ではあるにしても、ラピド・ウィーン戦で黒星(0-2)。強化担当役員のマイケル・エメナロがファンに「新体制を辛抱強く見守ってほしい」と訴えるなど、盛り上がりに欠ける新体制の出だしとなった。
EURO2016でも、ほぼ唯一の高評価。
とはいえ、やはりサッカーファンとしては、一昨季プレミア王者の復活に取り組むイタリア人新監督が描く「ブルーズの青写真」が気になる。就任直前の代表での仕事ぶりにしても、総じて「低レベル」と言われているEURO2016にあって高評価を得た。イングランド代表が最低レベルの出来に終わったこともあり、チェルシーのお膝元である西ロンドンの母国民にとっては、タッチラインを割るか割らないかの内にボールを蹴り飛ばしたコンテの気合爆発が、大会のハイライトだったとさえ言える。